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【紫外線対策】正しく知って賢く防ぐ!皮膚科専門医が伝えたい“日焼け”と健康の話

【紫外線対策】正しく知って賢く防ぐ!皮膚科専門医が伝えたい“日焼け”と健康の話

こんにちは。
身原皮ふ科形成外科クリニック 院長の身原京美です。

紫外線は、私たちの生活にとって身近な存在ですが、その影響や正しい対策法については、意外と誤解されていることが多いのをご存じでしょうか?

この記事では、環境省が発行した『紫外線環境保健マニュアル2020』を参考に、紫外線の正しい知識と対策方法について、皮膚科専門医の視点からわかりやすく解説します。


紫外線の「いいこと」「悪いこと」

紫外線は悪者のように思われがちですが、適度に浴びることで「ビタミンD」が体内で作られるという重要な役割も担っています。

一方で、紫外線を浴びすぎると…

  • シミ・シワなどの肌老化(=光老化)
  • 皮膚がん
  • 白内障などの目の病気
    など、様々な健康被害を引き起こす可能性があります。

間違いがち!紫外線に関する「うそ・ほんと」

環境省のマニュアルでも紹介されている、よくある誤解をご紹介します。

誤解実は…
曇りの日は日焼けしない薄い雲なら紫外線の80%以上が透過します
水の中なら安心水深50cmでも40%の紫外線が届きます
冬は紫外線が弱いから大丈夫雪による反射で2倍近く浴びることも

特に要注意なのは、10〜14時の時間帯と4〜9月の季節。この時間に1日の紫外線の70%以上が降り注ぎます。


紫外線対策の基本(特に夏の外出時は必須!)

  1. 帽子や日傘、長袖で肌をカバー
  2. SPF30以上の日焼け止めをこまめに塗り直す
  3. 木陰や日陰を選んで行動する
  4. UVインデックス(紫外線の強さ)をチェック
    • 気象庁のWebサイト等で毎日確認できます。

ビタミンD不足と日焼け止めの関係

「日焼け止めを塗るとビタミンDが作れないのでは?」という声もあります。確かにSPF30以上の使用で、皮膚でのビタミンD産生は5%以下になるとも言われています。

ただし、魚類(特にサケやうなぎ)などの食品や、サプリメントの活用も重要な選択肢です。
特に以下のような方は注意が必要です:

  • 妊婦さん・授乳中の方
  • 乳児(完全母乳育児・日光不足など)
  • 屋内勤務中心の方や高齢者

赤ちゃんの紫外線対策

赤ちゃんは皮膚が薄く、紫外線によるダメージを受けやすいため、強い日差しを避け、日陰や帽子で保護することが大切です。

UVインデックスが3以上の時間帯(例:10〜15時)を避けて、早朝や夕方の涼しい時間帯に散歩などをするのがおすすめです。


紫外線と「皮膚がん」の関係性

紫外線の中でも特に有害とされるのがUV-B。これは、皮膚のDNAを損傷させ、修復ミスによってがん化のリスクが高まることが分かっています。

  • 前がん状態:日光角化症
  • 皮膚がん:有棘細胞がん・基底細胞がん・悪性黒色腫 など

子どもの頃からの紫外線の蓄積が、何十年後にがん化のリスクとなることもあるため、年齢を問わず「今日から」対策を始めることが重要です。


紫外線はなぜ増えているの?

地球環境の変化(オゾン層の破壊、大気の浄化など)により、日本国内でも長期的な紫外線量の増加傾向が確認されています。

  • 札幌:10年で+3.3%
  • つくば:10年で+4.6%

まとめ:紫外線と正しく付き合うために

紫外線のメリット紫外線のデメリット
ビタミンD合成シミ・シワ・皮膚がんリスク
皮膚の殺菌作用白内障・免疫力低下など

🔹「日焼け止め+日陰+帽子+衣類」など、複数の方法を組み合わせることが最も効果的です。

🔹肌やライフスタイルに合わせた**“自分に合った紫外線対策”**を、皮膚科医として丁寧にご提案してまいります。


紫外線対策でお悩みの方へ

当院では、**紫外線による肌トラブル(シミ、赤ら顔、敏感肌、皮膚腫瘍など)**の診察・治療を行っております。お気軽にご相談ください。