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アトピー性皮膚炎の生物学的製剤に新たな選択肢

アトピー性皮膚炎の生物学的製剤に新たな選択肢

イブグリース®︎(レブリキズマブ)発売1周年記念講演会に参加してきました

先日、アトピー性皮膚炎の新しい治療薬「イブグリース®︎(一般名:レブリキズマブ)」の発売1周年記念講演会に参加いたしました。
実臨床での位置づけや、他薬剤との使い分けについて多くの学びがありましたので、少しご紹介させていただきます。

生物学的製剤によるアトピー性皮膚炎治療の進化

これまで、重症・難治性アトピー性皮膚炎の治療には、
**デュピクセント®︎(デュピルマブ)**が広く使用されてきました。
ここに近年、複数の生物学的製剤が加わり、治療選択の幅が広がっています。

各製剤の主な特徴まとめ(2025年現在)

製品名一般名標的特徴
デュピクセント®︎デュピルマブIL-4 / IL-13最も実績が豊富。全身炎症の抑制に強く、2週ごとの皮下注射。結膜炎の副作用がやや多い傾向。
アドトラーザ®︎トラロキヌマブIL-13IL-13に特化。2週ごと投与。海外では既に使用実績あり。日本では2024年から使用開始。
イブグリース®︎レブリキズマブIL-13アドトラーザと同じくIL-13をブロック。投与4回目以降は4週ごとの投与が可能結膜炎が少ないという報告も。
ミチーガ®︎ネモリズマブIL-31受容体Aかゆみの原因「IL-31」をブロックする世界初の薬剤。かゆみの強い症例に有効。投与間隔は4週ごとが基本。
デュピルマブ(デュピクセント®)の特性
トラキヌマブ(アドトラーザ®)の特性
レブリキズマブ(イブグリース®)の特性
ネモリズマブ(ミチーガ®)の特性

■ なぜ“選べる”ことが大切なのか?

同じアトピー性皮膚炎でも、

  • 赤みが強い方
  • かゆみがつらい方
  • 通院の負担を軽くしたい方
    など、患者さんの症状・生活スタイルはそれぞれ異なります。

それぞれの製剤に特徴があるからこそ、患者さんごとの状態に合わせた最適な選択が重要です。
当院では、診察時に生活状況や過去の治療歴も丁寧に伺いながら、最適な治療をご提案しています。

■ 今後もアップデートされた治療を患者さんへ

アトピー性皮膚炎の治療は、今まさに“新しい時代”を迎えています。
これからも、医学的根拠に基づいた治療を提供するために、
最新の知見を積極的に取り入れてまいります。

生物学的製剤をご希望の方、現在の治療でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞