尋常性白斑(しんじょうせいはくはん)の最新治療法|2025年版ガイドラインからわかる正しい診断と治療


尋常性白斑は、皮膚の色素が部分的に失われ、白いまだら状の斑点ができる病気です。日本人を含む世界中で見られる病気で、見た目への影響が大きいため、精神的ストレスや生活の質(QOL)に深く関わります。
尋常性白斑の原因と特徴
- メラノサイト(色素細胞)の破壊によるもの
- 後天的に発症することが多い
- 遺伝的な要因や自己免疫、酸化ストレスなどが関与
- 全身のどこにでも発症するが、顔、手足、体幹などに多い


2025年版ガイドラインのポイント
① 診断の基本
・白斑ができる病気は多いため、まずは専門医による正確な診断が重要です
・ウッド灯(特殊な紫外線ライト)や皮膚の観察で診断を行います
・鑑別診断(他の病気との区別)が大切です
② 治療の考え方
治療は症状や患者さんの希望に合わせて行います。ガイドラインでは、次の治療が推奨されています。
主な治療法
治療法 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
外用ステロイド薬 | 炎症を抑える | 軽症例に有効 |
タクロリムス軟膏 | 免疫を調整 | 顔や首などに使用 |
ナローバンドUVB療法 | 紫外線治療 | 広い範囲にも対応 |
エキシマライト | 部分的な紫外線照射 | 小範囲の治療に効果的 |
手術治療 | 皮膚移植やメラノサイト移植 | 難治例に適応 |
③ 治療目標
・自然な肌色への再着色
・患者さんの希望に寄り添った治療方針
・早期の治療開始が効果的
④ 新たに追加された内容
・グローバルな治療指針(海外の最新知見)を反映
・保険適用外の治療でもエビデンス(医学的根拠)があれば紹介
・治療の選択は患者さんと相談しながら進めるShared Decision Making(SDM)の考え方が重要
なかなか特効薬のない白斑ですが、当院では診断と外用療法までを行っています。
参考文献:日本皮膚科学会誌 2025年 135 巻 3号 485-525


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞