アトピー性皮膚炎における「TtoT」と「SDM」とは?


〜最新の知見に基づいた質の高い治療を目指して〜
◆ TtoT(Treat to Target)とは?
アトピー性皮膚炎の治療では、TtoT(トリート・トゥ・ターゲット)という考え方が注目されています。これは、症状の改善を「目標(ターゲット)」として定め、そこに向かって計画的に治療を進めていく方法です。
従来のように「かゆみがひどくなった時だけ治療する」という対症療法から一歩進み、再燃しにくく、日常生活に支障の少ない状態を継続的に維持することを重視します。


私自身、先日開催された全国講演会(アトピー性皮膚炎治療の最新動向に関するエキスパートによる講演会)に参加し、このTtoTの有効性と重要性について最新の研究や国内外の実践例を学んできました。
新しい外用薬や内服薬、生物学的製剤(バイオ製剤)を活用しながら、科学的根拠に基づいた治療を提供することの大切さを再認識しています。
◆ SDM(Shared Decision Making)とは?
SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)は、「共同意思決定」と訳され、医師と患者さんが対等な立場で情報を共有し、一緒に治療方針を決めていく考え方です。
特にアトピー性皮膚炎のように慢性的で個人差の大きい疾患においては、患者さんの価値観や生活スタイル、将来の希望をふまえたうえで治療を選ぶことが大切です。


講演会では、SDMが治療の継続率や満足度に良い影響を与えることが最新のエビデンスとして報告されており、医療者側の説明スキルやコミュニケーションの質も問われていることを学びました。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞