汗をかくとかゆくなるのはなぜ? その原因と対策を皮膚科専門医が解説します


「汗をかくとかゆい…」そんなお悩みありませんか?
夏場や運動後、あるいはストレスを感じたときに「汗をかいたあと、なぜか肌がムズムズとかゆくなる」という経験はありませんか?
この症状は**「汗かぶれ」や「汗アレルギー」**と呼ばれることもあり、皮膚トラブルの一種です。
今回は、皮膚科専門医の視点から、汗によるかゆみの原因とその対策法をわかりやすくご紹介します。
汗をかくとかゆくなる原因とは?
①汗そのものが刺激になる(汗かぶれ)
汗にはナトリウムや尿素、乳酸などの成分が含まれており、これが肌に残ると角層を刺激し、かゆみや赤みの原因になることがあります。
②汗が毛穴にたまって炎症を起こす(汗疹)
「汗疹」は、汗の出口がふさがって炎症を起こすもので、赤いブツブツやかゆみが出やすくなります。
③自律神経やストレスが関係する「コリン性蕁麻疹」
運動や入浴で体温が上がると、蕁麻疹のようなかゆみを起こすことがあります。汗をきっかけとした皮膚反応のひとつです。


アトピー性皮膚炎の方は特に注意が必要
アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、汗をかくことで症状が悪化しやすい傾向があります。
その理由としては:
- 汗に含まれる塩分や成分が刺激になる
- かゆくて掻き壊し、炎症が悪化する
- 夏の高温多湿で肌バリアが崩れやすい
特に首・肘・膝裏・胸元など、汗がたまりやすい部位で湿疹や赤みが出やすくなるため、早めの汗対策がとても重要です。
皮膚科専門医がすすめる汗によるかゆみの対策法
汗をかいたらこまめに拭き取る
タオルで優しく押さえるように汗をふき、肌への刺激を減らしましょう。


通気性の良い服を選ぶ
肌に密着しないゆったりした服装や、綿素材や吸湿性の良い蒸れない素材が肌に優しくおすすめです。
シャワーや入浴で清潔に
汗をかいた後は、低刺激の石けんでやさしく洗い流しましょう。肌の弱い方は、石けん洗浄はなるべく1日一回までにとどめ、洗浄後は保湿をしましょう。
症状がある場合は皮膚科受診を
かゆみや赤みが続く場合は、市販薬では対応が難しいケースもあります。
当院では、掻きこわして治りにくくなったあせもや、また細菌感染を起こしてとびひになったような症状にも対応いたします。
特にアトピー性皮膚炎の方には、保湿や抗炎症治療を組み合わせた個別対応が必要です。
まとめ:汗によるかゆみや悪化を防ぐには、こまめなケアと専門的な治療が大切です
汗は身体の調節に必要な働きですが、肌への刺激になってしまうこともあります。
とくにアトピー性皮膚炎の方は、汗によるかゆみや悪化を防ぐ日常ケアが大切です。
お悩みのある方は、ぜひ一度ご相談ください。
皮膚科専門医として、患者さん一人ひとりに合ったケアをご提案いたします。