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第三回 広島皮ふの地域連携セミナーに登壇しました

第三回 広島皮ふの地域連携セミナーに登壇しました

〜結節性痒疹・帯状疱疹について内科医と連携した症例検討〜

2025年8月7日、「第三回 広島皮ふの地域連携セミナー」にて、結節性痒疹と帯状疱疹をテーマに、内科の先生とコラボレーション講演を行いました。

今回は140名を超える医師(主に内科医)の方々がWeb視聴され、大変活気のある会となりました。


座長のコールメディカルクリニック理事長・院長小田泰崇先生、福原内科医院院長福原宗之先生、山崎整形外科内科クリニック内藤則子先生とご一緒しました。

講演内容

前半30分は私から、皮膚科医としての視点で結節性痒疹と帯状疱疹の診断・治療のポイントを解説しました。

  • 結節性痒疹の特徴と発症メカニズム
  • 皮膚科で行う最新治療と効果
  • 内科領域の疾患や薬剤との関連性
  • 帯状疱疹の早期診断と抗ウイルス薬投与の重要性

内科の先生が主な対象であったため、まず痒疹と湿疹のビジュアルから解説しました。

また、皮疹の特徴と経過などについても分かりやすくまとめました。

痒疹は決して稀な疾患ではなく、苦しんでいる方は身近にいらっしゃることについても触れ、

痒みが強い痒疹は、患者さんのQOLを強く阻害する疾患であり、それについてもお話をしました。

実際の患者さんの訴えは、お伺いするのも辛いものです。

これまで強い痒みを伴い、患者さんのQOL阻害が大きい痒疹には有効な治療が乏しかったのですが、現在痒みをしっかりと抑える抗IL‐31抗体の注射剤などが投与可能です(投与には条件があります)。

投与した患者さんは痒みがしっかり抑えられ、生活の質が大幅に改善することも実際の患者さんの例に基づいてお伝えしました。


続いて、内科の先生も遭遇される機会の多い帯状疱疹の早期診断、治療の必要性についてもお話しました。

症例提示と質疑応答

後半30分は、内科の先生から実際の症例提示がありました。

その場で皮膚科医の立場から診断アプローチや治療戦略についてお答えし、参加者の先生方からも多くのご質問をいただきました。

特に、内科と皮膚科のスムーズな連携の重要性が再確認できた時間でした。

今回の講演で伝えたかったこと

  • 早期診断と専門医連携が患者さんの予後改善に直結すること
  • 慢性のかゆみや皮疹は全身疾患のサインである可能性があること
  • 内科・皮膚科双方からのアプローチでより適切な治療が可能になること

まとめ

結節性痒疹や帯状疱疹は、日常診療で遭遇する頻度が高い皮膚疾患ですが、背景に多様な全身疾患が隠れている場合があります。

今回のセミナーを通じ、地域の内科医と皮膚科医が連携して診療する体制の大切さを改めて実感しました。

今後も、地域医療の質向上のために積極的に情報発信と連携活動を続けてまいります。

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞