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ほうれい線・マリオネットラインにヒアルロン酸は効果ある?皮膚科専門医が原因・治療法・ダウンタイムを詳しく解説

ほうれい線・マリオネットラインにヒアルロン酸は効果ある?皮膚科専門医が原因・治療法・ダウンタイムを詳しく解説

加齢とともに気になる「ほうれい線」や「マリオネットライン」。
インターネットでも
「ほうれい線 ヒアルロン酸」
「ヒアルロン酸 ダウンタイム」
と常に上位に入る人気の治療テーマです。

今回は、皮膚科専門医として、
“どんな人にヒアルロン酸が効果的なのか?”
“ダウンタイムはどれくらい?”
“マリオネットラインはなぜ難しいのか?”

を、医学的根拠にもとづいて解説します。


ほうれい線にヒアルロン酸は効果がある?──効果が出る人・出にくい人

ほうれい線は、単なる“皮膚のしわ”ではなく
**骨格・脂肪・靱帯のゆるみが複合して起きる「構造的なたるみ」**です。

ヒアルロン酸の効果が出やすいタイプ

  • 頬のボリュームロス(ミッドチークの下垂)
  • 中顔面の支持が弱り、ほうれい線が折れ込むタイプ
  • まだ皮膚の弾力が残っている40〜50代前半

頬の支え(リガメント周囲)を補強する注入が最も効果的です。

効果が出にくいタイプ

皮膚に刻まれた“深いしわだけ”が残っている

口元の突出や噛み合わせの問題

  • 皮膚の強いたるみ

この場合は、

✔ 皮膚そのものの質改善(皮膚の中へのヒアルロン酸注入、機器治療など)

✔ ボリューム補正と併用

など複合治療が必要です。


ヒアルロン酸注入のダウンタイムはどれくらい?──症状別の目安

ヒアルロン酸のダウンタイムは比較的軽度で、通常の生活をしながら受けられます。

一般的なダウンタイムの目安

  • 腫れ:24〜72時間
  • 赤み:数時間〜48時間
  • 内出血:1〜2週間(メイクで隠れることが多い)
  • 痛み:当日〜翌日まで軽度 (強い痛みや新たな痛みが出るときは主治医にご連絡が必要です!)

当院でのダウンタイム軽減の工夫

  • カニューラによる内出血リスクの軽減
  • 麻酔入り製剤で痛みを最小限に
  • 注入層を使い分け、自然で凹凸のない仕上がり
  • 解剖学的な構造に沿った丁寧な操作で周囲組織への損傷を最小限に

施術後の注意点

  • 当日の激しい運動・飲酒は避ける
  • 入浴はシャワー程度に
  • 強いマッサージは1週間控える

マリオネットラインはなぜ難しい?──“線を埋めるだけ”では改善しない理由

マリオネットライン(口角から下に伸びるしわ)は、
下顔面の骨格変化・脂肪の下垂・靭帯の緩みが複合した老化です。

  • マリオネットラインが深くなる原因
  • 下顎骨(オトガイ部)の骨量減少
  • 口角周囲の靭帯ゆるみ
  • 口角下制筋(DAO)の過緊張
  • 頬・下顔面脂肪の下垂

効果的な治療デザイン

  1. 顎の骨格を補うボリューム注入
  2. 口角の支持構造を作る注入(口角外側・オトガイ)
  3. 溝に対する仕上げの微量注入

→ この3ステップにより、自然で若々しい下顔面ラインになります。

ボトックス併用が有効な場合

DAOが強く、口角が下がりやすいタイプは
ボトックス併用で相乗効果が得られます。


治療の安全性とリスクについて

ヒアルロン酸は安全性が高い治療ですが、医学的に以下のリスクがあります。

  • 内出血
  • 血管穿刺による腫れ・痛み
  • 製剤によるアレルギー
  • ごくまれに血管閉塞(早期対応が重要)

医療機関選びでは
解剖・血管走行を熟知した医師
溶解剤(ヒアルロン酸分解酵素)を常備
していることが重要です。


まとめ:ヒアルロン酸は“正しい診断”があってこそ最大の効果を発揮する

  • ほうれい線・マリオネットラインは構造的な老化
  • ヒアルロン酸は有効だが、注入ポイントの設計が結果を左右する
  • ダウンタイムは比較的短く、日常生活に支障は少ない
  • 骨格・脂肪・靭帯を理解した“顔全体の診断”が最も重要

当院のヒアルロン酸注入についてさらに詳しく

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞