金属アレルギーと刺激皮膚炎の違い—「アクセサリーかぶれ」はどちら?—


1.「かぶれ」の原因は1つではありません
—金属アレルギー? 刺激? 乾燥?—
アクセサリーや時計、眼鏡、シェーバーの使用後に赤みやかゆみ、湿疹が出ると
「金属アレルギー?」
と心配されて受診される方が多くいらっしゃいます。
しかし実際には、皮膚科専門医の視点では、
●金属アレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)
●刺激皮膚炎(非アレルギー性接触皮膚炎)
のどちらかを見極めるのが大切なのですが、「アレルギー」でないケースが圧倒的に多いのです。
この2つを混同されていることがしばしばですが、原因も対策も大きく異なります。
2.金属アレルギーとは?


体の免疫反応が関与する“アレルギー性のかぶれ”**
金属アレルギーは、ニッケル・コバルト・クロムなどの金属に対して体が過敏に反応し、
赤み・湿疹・かゆみを引き起こすアレルギー反応です。
特徴は次の通りです。
【金属アレルギーの特徴】
- 同じ製品を使うたびに症状が出やすい
- 触れていた“外周”がくっきり赤くなる
- 症状は数日かけて悪化しやすい
- 長期間続く・広がることもある
- ニッケルを含む製品に反応することが多い
免疫反応が関わるため、繰り返しやすいのがポイントです。
3.刺激皮膚炎とは?


乾燥・摩擦・汗など“刺激”で起こるかぶれ**
「アレルギーではないかぶれ」です。
特に皮膚が弱っている時に起こりやすく、
- 乾燥
- 汗
- 摩擦
- 消毒薬・石鹸
- マスクやメガネの圧迫
など 誰にでも起こり得るのが特徴です。
【刺激皮膚炎の特徴】
- 新しい製品を使ったときに一時的に出る
- 触れている中心部が赤くなりやすい
- 数日で改善することが多い
- 「その日の汗・乾燥」で悪化しやすい
- 皮膚バリアが弱い方(敏感肌・アトピー)は特に起きやすい
金属アレルギーと違い、免疫ではなく「物理的な刺激」が原因です。
金属アレルギーと刺激皮膚炎の一般的な見分け方
- 同じ製品で毎回出る、製品に接触している部分に一致して真っ赤に腫れる → アレルギー疑い
(例:ネックレスの金具部分にぐるりと強い赤み、水疱などが毎回出る)
- 汗をかいた日・乾燥した日に悪化 → 刺激の可能性
(例:メガネの鼻パッド部分が赤くなる。時計の文字盤部分に軽い赤みが出る)
- 新しい化粧品・美顔ローラーで突然出た → どちらもあり得る
(使用を中止し、どれくらいで収まるかを観察する)
- 広い範囲にぶつぶつが出た → 食事や汗による悪化も考える
原因が複雑に重なる人も多いため、専門医による診察で “皮疹の診断” と “生活背景の聞き取り” が最重要です。
当院の治療方針
当院では、
- 発症のタイミング
- 使用製品(アクセサリー・シェーバー・眼鏡など)
- 皮疹の形・範囲
- 生活習慣(汗・乾燥・美容機器)
を丁寧に確認し、
金属アレルギーか刺激皮膚炎かを総合的に判断します。
金属アレルギーとご自身で言われる方の多くが、刺激皮膚炎であり、生活指導と処方薬、適切なスキンケアで改善が可能なことがほとんどです。
※ご希望の方には金属パッチテストを実施している医療機関をご紹介しています。
7.まとめ
- 「アクセサリーかぶれ」は金属アレルギーだけではない
- 刺激皮膚炎は誰にでも起こり、汗・乾燥・摩擦が原因になる
- “生活の中で何が起きているか”の分析が重要
- 原因の推測ができれば改善しやすい⇒受診までの経過も重要
当院では、皮膚科専門医として、
患者さんの生活背景を重視した“実用的な診断・治療”を行っています。
時計やネックレス、指輪の部分に赤みやかゆみを繰り返す方は、是非一度当院にご相談ください!
皮膚科専門医が丁寧に診察、治療、生活上のアドバイスをさせていただきます。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞
