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【院長コラム】水虫・爪水虫は「年のせい」ではありません

【院長コラム】水虫・爪水虫は「年のせい」ではありません

― 最新ガイドラインに基づく正しい治療とは ―

身原皮ふ科形成外科クリニック院長の身原京美です。

「昔からだから」「年だから仕方ない」と放置されがちな水虫(足白癬)や爪水虫(爪白癬)ですが、実はきちんと治療すれば治る病気です。

2025年に日本皮膚科学会と日本医真菌学会が合同で発表した最新ガイドラインでは、水虫・爪水虫は依然として日本人に非常に多い皮膚感染症であることが示されています。


日本人の7人に1人が水虫、13人に1人が爪水虫

最新の全国疫学調査(Foot Check 2023)によると、

  • 足水虫:13.7%
  • 爪水虫:7.9%

つまり、

日本人の約7人に1人が足水虫、約13人に1人が爪水虫

という計算になります。

特に高齢になるほど頻度は上昇し、70代以降ではさらに増加します。
「高齢だから当たり前」ではなく、高齢だからこそ治療すべき感染症です。


水虫・爪水虫を放置するとどうなる?

放置すると、次のような問題が起こります。

  • 家族へ感染する(バスマット・スリッパ・床)
  • 皮膚が破れて細菌感染(蜂窩織炎)
  • 爪が厚く変形し、靴が履けなくなる
  • 糖尿病の方では重症化リスク増大

特に高齢者+糖尿病+爪白癬の組み合わせは、
足の潰瘍・壊疽リスクの重要因子とされています。


「市販薬で治らない理由」

多くの方がこうおっしゃいます。

「市販の水虫薬、ずっと塗ってるけど治らない」

実は、水虫治療で最も多い失敗がこれです:

  • 症状が消えたらやめてしまう
  • 指の間だけ塗っている
  • 爪水虫なのに外用だけ
  • そもそも水虫ではない(湿疹)

ガイドラインでも明確に、

症状が消えても菌は残っていることが多く、治療中断が再発の最大原因

とされています。


皮膚科で行う「正しい水虫診療」

当院では以下を必ず行います。

① 顕微鏡検査(直接鏡検)

皮膚や爪の一部を採取し、本当に真菌かを確認します。

→ 湿疹・乾癬・爪変形との鑑別が極めて重要。


② 病型に応じた治療選択

ガイドライン推奨度:

疾患推奨治療
足水虫抗真菌薬外用(A)
爪水虫内服抗真菌薬(A)
体部白癬外用または内服(A)
頭部白癬内服必須(A)

※爪水虫は外用だけでは治癒率が低いことが科学的に示されています。


爪水虫は「飲み薬」で治る時代

現在使用される主な内服薬:

  • テルビナフィン
  • イトラコナゾール
  • ホスラブコナゾール(新薬)

いずれもエビデンスレベルが高く、治癒率の高い治療法です。
定期的な血液検査で安全性も管理できます。


「年だから治らない」は間違いです

水虫・爪水虫は、

年齢の問題ではなく、感染症です。

そして感染症である以上、

正しく診断すれば、治療できます。

実際、最新ガイドラインでも、

  • 新規抗真菌薬の登場
  • 内服治療の進歩
  • 耐性菌対策

などにより、過去より確実に治療成績は向上しています


院長からひとこと

水虫は「恥ずかしい病気」ではありません。
誰でもなり得る、極めてありふれた皮膚感染症です。

そして、

皮膚科で正しく診断すれば、ほとんどの方が改善します。

「もう何年もだから…」と諦めず、
一度、顕微鏡で確認してみませんか?


参考文献・根拠

日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同
皮膚真菌症診療ガイドライン 2025
日皮会誌 135(13):2511-2566, 2025

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞