最近、帯状疱疹の患者さんが増えています ― なぜ今?予防と早めの受診が大切な理由 ―


最近、診察室で「ピリピリとした痛み」や「急に出てきた赤い発疹」を訴える患者さんが非常に増えていると感じます。診断の結果、**「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」**であるケースが後を絶ちません。
今回は、なぜ今、帯状疱疹が増えているのか、そして「怪しい」と思った時にどうすべきかについて解説します。
1. なぜ今、帯状疱疹が増えているのか?
帯状疱疹は、体内に潜伏していた「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、免疫力の低下に乗じて再び暴れ出す病気です。最近の増加には、大きく2つの背景があると考えられています。
- 「免疫のブースター」の減少: かつては街中で水疱瘡(みずぼうそう)が流行することで、大人は自然とウイルスに接触し、免疫が強化(ブースター効果)されていました。現在はワクチンの普及で子供の水疱瘡が激減したため、大人が免疫を維持する機会が減り、発症しやすくなっています。
- ストレスや疲労: 現代社会のストレスや加齢、季節の変わり目の寒暖差などで免疫力が落ちたタイミングを、ウイルスは見逃してくれません。
2. 「ただの湿疹」との見分け方
帯状疱疹には、他の皮膚疾患とは違う3つの特徴があります。
- 体の「片側」だけに出る: 神経の通り道に沿って出るため、真ん中を越えて反対側まで広がることは稀です。
- ピリピリ、チクチクした痛み: 発疹が出る数日前から、あるいは発疹と同時に、刺すような痛みや違和感が生じます。
- 帯状(おびじょう)に並ぶ赤みと水ぶくれ: 小さな水ぶくれが群れをなして、帯のように並びます。


3. 最も怖いのは「後遺症」
帯状疱疹は、単なる皮膚の病気ではありません。治療が遅れると、ウイルスによって神経が傷つけられ、皮膚が治った後も激しい痛みが残る**「帯状疱疹後神経痛(PHN)」**に移行してしまうことがあります。
特に50歳以上の方はリスクが高まるため、「あれ?」と思ったら**72時間以内(3日以内)**に抗ウイルス薬を飲み始めるのが、後遺症を防ぐ最大のポイントです。
院長からのアドバイス:予防という選択肢
「あの時、早く病院に行けばよかった」と後悔される患者さんを一人でも減らしたいと思っています。
- 早めの受診: 左右どちらかの体に違和感や発疹が出たら、すぐに皮膚科へ。
- ワクチンでの予防: 現在、50歳以上の方はワクチンで発症率を下げたり、重症化を防いだりすることが可能です。
現在、日本で使用されているワクチンには**「生ワクチン」と「不活化ワクチン(シングリックス)」**の2種類があります。
| 項目 | 生ワクチン | 不活化ワクチン(シングリックス) |
| 対象 | 50歳以上 | 50歳以上(18歳以上のハイリスク者含む) |
| 回数 | 1回 | 2回(2〜6ヶ月の間隔をあける) |
| 予防効果 | 約50%(50歳以上) | 約90%以上(50歳以上) |
| 効果持続 | 5年程度で低下 | 10年以上の高い持続性 |
| 費用 | 比較的安価 | 比較的高価(2回分必要) |
| 接種できない人 | 免疫抑制剤を使用中の方など | 特になし |
これって帯状疱疹かな?と思ったら、迷わず皮膚科を受診してください。
症状悪化を防ぐためにも、後遺症を残さないためにも、早期の受診、診断、治療がとっても重要です。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞
