皮膚から内臓の病気ってわかるの?
ご来院される患者さんの中には、
「こんなに皮膚が痒い(または皮疹が治らない)のは、身体のどこかが悪いからでは?」と心配される方が一定数おられます。
はたして、皮膚症状が内臓の病気を表すことはあるのでしょうか?
答えは、「yes」です。
しかしながら、皮膚症状から内臓の病気が分かるのはごく限られた場合です。
その中でも多いのは、キズが治りにくいことから、皮膚がんや糖尿病などのキズが治るのを妨げる病態がみつかることです。
治りにくいキズを見た場合には、使用している薬剤の影響(内服でも外用でも)も考える必要がありますが、単なるキズではなく皮膚がんがあるのではないか、または糖尿病などのキズの治りを妨げる要因が身体にあるのではないかを疑って、皮膚生検や採血検査などをすすめていきます。
全身の病気と関連する皮膚病変は「デルマドローム」と言われ、いくつか存在します。
- 皮膚増殖性疾患(黒色表皮腫など)
- 紅斑症、紅皮症
- 自己免疫性水疱症
- 膠原病(皮膚筋炎、全身性強皮症、シェーグレン症候群など)
- 好中球関連皮膚疾患(Sweet病、壊疽性膿皮症など)
などがありますが、いずれも一目みて判断できるものではなく、慎重に経過をみて治療への反応性なども加味して診断していくことが大切です。
残念ながらどんな皮膚科の名医でも、一目みて潜んでいる病気が分かることはあり得ないのです。
…蛇足ながら、このような皮膚疾患はまれで、たいていは内臓の病気とは関連があまりないことがほとんどですので、あまりご心配されずに当院にご相談ください。
参考文献:日本皮膚科学会誌 2024年 134 巻 12 号 2993-3000


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞