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マスクの素材と皮膚トラブル

新型コロナウイルスやインフルエンザ流行により、マスクの着用頻度が増え、それに伴い皮膚トラブルを訴える人もコロナ禍では沢山おられました。

最近も花粉症などでマスクが手放せない方は沢山おられます。

マスクの素材と、皮膚トラブルはどのように関係するのでしょうか?

マスク素材の特性

マスクには、不織布、ウレタン、布、ガーゼなどさまざまな種類があり、それぞれの層構造や通気性、摩擦性、遮光性能が異なります。

特に、不織布マスクは2〜4層の構造を持ち、ウイルスや微粒子を捕集する機能が高いのですが、通気性が低くなりがちです。

一方、ウレタンマスクは通気性が高いものの、ウイルス防御効果は低く、摩擦が強いため肌への刺激が大きいことが判明しています。

マスクによる皮膚障害

皮膚科を受診した47.6%がマスクによる皮膚トラブルを経験していたという報告があります。

特に20〜30代の女性に多く、症状としては「かゆみ」「にきび」「赤み」が多いとされています。

また、不織布マスクによる影響が最も多く、次いでウレタンマスクの使用者にも皮膚トラブルが見られました。

正しいマスクの使用方法とスキンケア

適切なマスクの使用方法やスキンケアの指導を受けると、4週間後に皮膚のバリア機能が改善し、炎症や乾燥の軽減がしたとされます。

特に、不織布マスクの内側にガーゼを挟むことで肌への負担を軽減できることも指摘されています。

また、マスクには十分な遮光効果がないため、紫外線対策として日焼け止めの併用が推奨されます。

まとめ

マスクによる皮膚トラブルを防ぐためには、適切なマスクの選び方と正しいスキンケアが重要です。

特に、不織布マスクを使用する場合は、内側にガーゼを挟むなどの工夫をすることで肌への負担を軽減できます。

マスクを着用する際には、通気性・摩擦・遮光性能などの特性を理解し、自分の肌に合った対策を取り入れましょう。

参考文献:日本皮膚科学会誌 2025年 135 巻 1 号 59-72

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞