円形脱毛症とは?
円形脱毛症は、突然、髪の毛が円形または不整形に抜けてしまう自己免疫性の脱毛症です。頭部に限らず、眉毛やまつ毛、体毛にも生じることがあり、小児から高齢者まで幅広い年齢層に発症します。
原因とメカニズム
円形脱毛症は、自己免疫の異常により自分の毛包(毛根)を攻撃してしまうことで脱毛が起こると考えられています。ストレスや遺伝的素因、甲状腺疾患などの合併症が関与することもあります。
円形脱毛症の種類
- 単発型
最も多く、1か所のみ脱毛するタイプ
- 多発型
複数の脱毛斑が見られる
- 全頭型
頭髪全体が抜ける
- 汎発型
体毛を含めて全身の毛が抜ける重症タイプ
- 蛇行型(頭部脱毛斑がつながる)
思春期以降の男性に多く、予後不良なことが多い


当院での診断と治療方針
当院では、日本皮膚科学会のガイドラインに準拠し、皮膚科専門医がしっかりと診察・評価を行ったうえで、症状に応じた治療を提案いたします。
主な治療法(※ガイドライン準拠)
外用療法
・ステロイド外用剤:毛根に対しておこっている炎症を押さえます。
・カルプロ二ウム(フロジン®)外用:頭皮の血行を改善します。
液体窒素療法
毛根を攻撃している炎症細胞を、表皮に誘導します。
局所免疫療法(SADBE)
難治例で行われる、皮膚にかぶれを起こすことで免疫を調整する治療
※当院では行っておらず、実施されている他院への紹介となります。
注射療法
ステロイド局所注射(小範囲に有効)
内服療法
・セファランチン製剤
・JAK阻害薬(バリシチニブなど ※重症例に限る/保険適用あり)
・抗アレルギー薬(併発疾患の対応)
治療の選択と経過
症状や年齢、脱毛範囲に応じて、治療法を組み合わせて行うことが多く、再発を繰り返す場合もあります。軽症例の約8割は自然に改善するとも言われていますが、放置すると進行することもあるため、早期の受診が大切です。
ごくまれに急速に進行する例もあり、その際には総合病院へ紹介することもあります。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞