やけど(熱傷)

Medical

やけど(熱傷)とは

やけど(熱傷)は、高温の液体、火、蒸気、金属、化学薬品などによって皮膚が損傷を受ける状態を指します。日常的に起こる軽度のやけどから、深部に達する重症のやけどまで幅広く、初期対応と適切な治療が、その後の経過や傷跡、機能に大きく影響します。

熱傷治療における当院の強み

熱傷専門病院での豊富な経験

当院院長は、全国でも熱傷治療で有名な長崎病院にて約15年間勤務し、重症熱傷を含む数多くの症例に対応してきた経験があります。急性期から瘢痕・後遺症管理に至るまでの一連の治療を熟知しており、日本熱傷学会の学術奨励賞も受賞しています。

形成外科医による高度な診断と処置

当院には形成外科専門医も在籍しており、やけどの深さや部位、年齢、職業などを総合的に評価し、保存療法か手術療法かの適切な判断を行います。手術が必要な場合も、瘢痕や機能障害を最小限に抑える形成外科的アプローチを採用し、できる限り目立たない傷跡と自然な仕上がりを目指します。

やけどの深さによる分類

やけどはその深さに応じて、以下のように分類されます。

分類特徴
Ⅰ度熱傷表皮までに留まり、皮膚が赤くなりヒリヒリとした痛みがある。跡は残らない。
浅達性Ⅱ度熱傷真皮の浅い部分までに達し、水ぶくれや赤み、強い痛みを伴う。適切な処置で治癒する。
深達性Ⅱ度熱傷真皮深層までに達し、白っぽい色をした皮膚が特徴。瘢痕を残しやすく、専門的な治療が必要。
Ⅲ度熱傷皮下組織にまで及び、皮膚が黒や白に変色する。痛みを感じないこともあり、基本的に外科的治療が必要。
やけどの深さによる分類

やけどの原因

やけどの主な原因は以下の通りです。

  • 熱湯や油などの高温物質との接触
  • ヘアアイロンやホットプレートなど高温器具の接触
  • 低温やけど(ストーブ、湯たんぽなどによる長時間の接触)
  • 化学物質(漂白剤、洗剤など)による化学熱傷
  • 小さなお子様による事故

日常生活の中でも身近な原因でやけどを負うことが多いため、注意が必要です。

応急処置の手順

やけどを負った直後は、以下の応急処置が非常に重要です。

  1. できるだけ早く、患部を流水で15〜30分冷却する(服の上からでも可)
  2. 水疱ができても破かず、そのまま清潔に保つ
  3. 清潔なガーゼやタオルで覆って病院へ向かう
  4. 広範囲や顔・手・関節部、小児のやけどは必ず早期に医療機関を受診する

応急処置の適切さが、治癒後の見た目や機能に大きな影響を与えます。

低温熱傷について

低温熱傷とは、比較的低い温度(およそ44〜60℃程度)の熱源に長時間接触することで発生するやけどのことを指します。通常のやけどが高温に短時間触れることで起こるのに対し、低温熱傷はじわじわと皮膚の深部までダメージが進行するのが特徴です。

見た目は軽そうに見えても、実際には皮膚の深い層まで損傷していることが多く、適切な診断と早期の治療が必要です。

低温熱傷が起こりやすいシチュエーション

以下のような場面で低温熱傷が発生することが多いです。

  • 湯たんぽを同じ部位に長時間当てた場合
  • カイロを直接肌に貼ったまま寝てしまった場合
  • 電気毛布やこたつで皮膚が長時間温められた場合
  • ストーブの前に長時間座っていた場合

寒い季節や睡眠中など、無意識のうちに発生するケースが非常に多いため、特に注意が必要です。

低温熱傷の症状

低温熱傷の症状は以下のように進行することがあります。

  • 皮膚が赤くなり、軽い痛みや違和感が出る
  • 数時間後に水ぶくれ(水疱)ができる
  • 深部まで熱が達していると、痛みを感じにくい場合もある
  • 放置すると、黒色や白色に変色して壊死することがある

初期症状が軽く見えても、実際には深刻なダメージがあることが多いため、油断は禁物です。

低温熱傷を負った場合の応急処置

低温熱傷を負った直後の対処として、以下のような応急処置が推奨されます。

  1. すぐに熱源から離れる
  2. 患部を流水で15〜30分間冷やす(服の上からでもOK)
  3. 水疱ができても破かず、清潔に保つ
  4. 患部をガーゼや清潔なタオルで覆い、早めに医療機関を受診する

低温熱傷は、自己判断で様子を見ると悪化することが多いため、必ず皮膚科専門医に相談しましょう。

低温熱傷を防ぐためにできること

低温熱傷を予防するためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 湯たんぽやカイロは、必ずタオルで包み、直接肌に当てない
  • 電気毛布やこたつの長時間使用を避ける
  • 体温調節できる環境を整え、低温の熱源に依存しすぎない
  • 高齢者や小児、感覚障害がある方には特に注意する

「じわじわ温めるもの」ほど、低温熱傷のリスクが高いことを意識しましょう。

低温熱傷は、見た目よりも重症化しやすい特徴を持つため、症状が軽そうに見えても早めの診断と治療が大切です。放置すると瘢痕や機能障害を残すリスクもあります。

当院でのやけど治療内容

当院では、やけどの状態に応じて以下の治療を行っています。

  • 外用薬や湿潤療法(モイストヒーリング)による保存的治療
  • 抗菌外用薬や創傷被覆材(ドレッシング材)の使用
  • 瘢痕治療のためのステロイド外用薬、注射
  • 必要に応じた形成外科的手術(瘢痕拘縮の解除、皮膚移植など)

形成外科医の視点を活かし、機能と見た目の両方に配慮した治療を提供しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 水ぶくれはつぶしてもいいですか?

A. いいえ。感染リスクがあるため破らず、清潔に保って速やかに皮膚科を受診してください。

Q. やけどの跡が残らないようにするにはどうすればいいですか?

A. 初期からの適切な処置が重要です。当院では瘢痕ケアにも力を入れています。

Q. 手術が必要な場合はどこで行いますか?

A. 院内で可能な範囲の手術には当院で対応します。さらに高度な治療が必要な場合は、提携の広島市民病院などへの紹介も行っております。

まとめ

やけどの治療は早期受診が鍵です。

やけどは、皮膚の損傷だけでなく、関節の可動域制限や日常生活への影響を及ぼすことがあります。特に顔や手、関節部、小児のやけどは早期の専門的対応が不可欠です。

当院では、熱傷治療の経験豊富な医師と形成外科専門医が連携し、機能・見た目の両面から適切な治療を提供しています。広島市中区でやけど治療をご希望の方は、ぜひ身原皮ふ科・形成外科クリニックまでご相談ください。

関連記事Related

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞