乾燥肌とは
乾燥肌とは皮膚科的には皮脂欠乏症といい、皮膚の水分と皮脂が極端に減少し、バリア機能が低下した状態を指します。特に高齢者に多くみられ、乾燥・かゆみ・鱗屑(りんせつ:フケのようなもの)・あかぎれ・湿疹などの症状を引き起こします。
乾燥肌の原因
- 加齢に伴う皮脂分泌量の低下
- 過度な洗浄・熱いお湯での入浴
- 空気の乾燥(特に冬季やエアコン使用時)
- 既存の皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、糖尿病など)
- 一部の薬剤(利尿薬、抗コリン薬など)
乾燥肌の治療
基本は保湿とスキンケア
日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」では、早期のスキンケア介入が最も重要とされており、以下のアプローチが推奨されています。
- 保湿剤の使用(外用療法)
- ヘパリン類似物質、ワセリン、尿素、セラミド含有製剤など
- 入浴後5分以内に塗布することで効果的
- 皮脂欠乏性湿疹を伴う場合
- 軽度:弱いステロイド外用薬+保湿剤
- 中〜重度:中等度以上のステロイド外用薬を短期間使用し、その後保湿で維持管理
- かゆみが強い場合
- 抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬の内服
予防と再発防止
皮脂欠乏症は慢性的な経過をたどることが多いため、予防と継続的なスキンケアが重要です。
- 入浴はぬるま湯で短時間に ナイロンタオルは使用せず、手でやさしく洗う
- 石けん・ボディソープは低刺激のものを使用 泡で出るタイプも効果的
- 入浴後すぐの保湿を習慣化
- 冬季は加湿器を使うなど、室内環境の調整
- 肌に合った衣類(ゴワゴワしない素材など)を選ぶ
まとめ|皮脂欠乏症の適切な管理で快適な肌へ
皮脂欠乏症は、早期発見と適切なスキンケア、保湿療法によって大きく改善できる疾患です。特に高齢者や乾燥肌に悩む方にとっては、毎日のちょっとしたケアが症状悪化の予防につながります。
日本皮膚科学会のガイドラインに沿った治療と予防策を実践し、かゆみや湿疹のない快適な肌を目指しましょう。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞