当院で行っている外用治療(ホームケア)について
トレチノイン+ビタミンC外用+ハイドロキノン外用療法
肌のシミ・肝斑・くすみ・毛穴・ハリ不足など、さまざまな肌悩みに効果的とされる「外用治療(ホームケア)」を、当院では専門的にご提案しています。
なかでも、皮膚科学的に根拠がある「トレチノイン」「ビタミンC」「ハイドロキノン」の3つの外用剤を組み合わせた治療は、医師の管理下だからこそ可能なスキンケア治療です。


当院のトレチノインは「抱合トレチノイン」だから刺激が少なく効果が高い
トレチノインはビタミンA誘導体で、ターンオーバー(肌代謝)を促進し、シミ・毛穴・小じわ・ニキビ跡など幅広い肌悩みに効果的です。
当院で使用するトレチノインは、特別な「抱合トレチノイン(Conjugated Tretinoin)」というタイプ。
これは、肌にゆっくりと浸透し、必要な場所で効果を発揮する設計になっているため、
低濃度(0.025%)でも
▼高い効果と
▼刺激の少なさ
を両立しています。
はじめてトレチノインを使う方や、敏感肌の方にも使いやすい設計です。
ビタミンC(10%)もヒアルロン酸たっぷりの低刺激処方
美白や毛穴改善、肌のハリアップなど、肌質改善に欠かせないビタミンC。
当院ではビタミンCを10%という「肌にしっかり届いて効果を発揮する濃度」で配合しながらも、ヒアルロン酸たっぷりの高保湿基材に溶かし込むことで、一般的なビタミンC外用剤にありがちな「ピリピリ感」や「乾燥」を大幅に軽減しています。
肌にやさしく、それでいてしっかりとビタミンCの効果を実感できる処方です。
ハイドロキノンでメラニン生成を抑制
ハイドロキノンは「美白剤の王様」とも言われる成分。
① メラノサイト(メラニンを作る細胞)の働きを抑制
ハイドロキノンは、このメラノサイトの中でメラニンを作る「チロシナーゼ」という酵素の働きを強力に抑える作用があります。
→ メラニンの生成を根本からブロックする働き
② メラノサイトそのものの活性を下げる
ハイドロキノンは、チロシナーゼ阻害だけでなく、過剰に活性化したメラノサイト自体の働きを弱める(選択的にメラノサイトの細胞活性を抑える)作用もあります。
→ 新しいメラニンが作られにくい環境に整える
③ すでにできたメラニンの排出を促進
ターンオーバー(肌代謝)の促進作用は弱いですが、他の外用薬(トレチノインなど)と併用することで、メラニンが排出されやすい状態を作ることができます。
→ トレチノインとの併用で効果倍増
ハイドロキノンは高い効果がある一方で、使い方を誤ると赤み・かぶれ・白斑(色抜け)などの副作用が起こることもあります。
当院では皮膚科専門医が
- 適切な濃度
- 正しい塗り方
- 使用期間
をしっかりとご説明しながら、安全に使えるようサポートしています。
当院では医師の指導のもと、適切な濃度・使用方法でハイドロキノン外用を組み合わせ、より高い美白効果を目指します。
トレチノイン+ビタミンC+ハイドロキノンに加え、お悩みに応じて外用薬を追加処方
当院では、シミ・肝斑・くすみ・毛穴・赤みなど、肌悩みに合わせた医療用スキンケア(外用治療)をご提案しています。
基本は「トレチノイン」「ビタミンC」「ハイドロキノン」の3種類を組み合わせた治療が中心ですが、患者さんそれぞれの肌状態・お悩みに応じて、次のような外用剤も併用しています。
トランサミン外用(美白・肝斑・炎症後色素沈着に)


トランサミン(トラネキサム酸)は、内服薬として有名ですが、実は外用でも高い効果が期待できます。
肌の炎症を抑えたり、メラニン産生をブロックする働きがあり、特に
- 肝斑
- くすみ
- ニキビ跡の色素沈着
に対して有効とされています。内服が苦手な方や、部分的に集中ケアしたい方におすすめの外用剤です。
アゼライン酸外用(赤み・毛穴・ニキビに)


アゼライン酸は、欧米では長年使われてきた皮膚科治療薬。
皮脂の分泌をコントロールし、毛穴づまりやニキビの改善だけでなく、赤ら顔(酒さ)や毛穴の目立ち、炎症後の色素沈着にも効果が期待できます。
当院では、特に
- 毛穴が目立つ
- 赤みが気になる
- ニキビ跡や酒さ体質がある
といった方におすすめしています。
アゼライン酸は、日本では市販品もありますが、当院では医療機関専用のノンコメドジェニックテスト済みの高濃度タイプを使用し、医師の指導のもと安全に使用いただいています。
このような方におすすめ
- 毛穴やニキビ跡が気になる方
- ハリや透明感のある肌を目指したい方
話題の美白外用剤「シスペラ(Cyspera®)」とは?
シスペラは「ハイドロキノンに代わる新しい美白外用剤」
シスペラ(Cyspera®)は、スイスのScientis社が開発した美白(色素沈着改善)用の外用クリームで、主成分は「システアミン(Cysteamine)」です。
近年、肝斑やくすみ、色素沈着などに悩む方に向けて、ハイドロキノンに代わる新しい治療選択肢として注目されています。


シスペラの主成分「システアミン」とは?
システアミンはもともとヒトの体内(母乳や肝臓など)にも存在するアミノ酸の一種。安全性が高く、天然由来の成分です。
このシステアミンには強力な「メラニン生成抑制作用」があることがわかっており、これを外用薬として応用したのが「シスペラ」です。
シスペラの作用機序(はたらき)
① チロシナーゼ酵素の阻害
メラニンを作るチロシナーゼという酵素の働きをブロック。ハイドロキノンと似た作用。
② メラニン合成の初期段階を幅広く抑制
チロシナーゼ以外にも複数のメラニン産生経路を阻害(ハイドロキノンより多面的)
③ 抗酸化作用・抗炎症作用
肝斑やニキビ跡の色素沈着に効果的
シスペラの効果が期待できる肌悩み
悩み | 理由 |
---|---|
肝斑 | メラニン生成+炎症抑制 |
くすみ・色むら | 全体的なトーンアップ |
ニキビ跡の色素沈着 | メラニン抑制+抗炎症 |
老人性色素斑(シミ) | メラニン生成抑制 |
色素沈着しやすい敏感肌 | 低刺激で継続しやすい |
シスペラのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
肝斑や色素沈着に幅広く効果 | 独特の匂い(硫黄系) |
ハイドロキノンにない抗炎症作用 | 効果実感にやや時間がかかる |
長期使用可能・安全性が高い | 価格が高め(約3〜4万円程度) |
色抜けリスクがほぼ無い | 短時間塗布→洗い流しが手間 |
医師による診察と肌チェックのうえでご提案しています
外用治療(ホームケア)は「正しい診断」と「正しい使い方」が非常に重要です。
当院では皮膚科専門医が診察した上で、患者さんの肌状態やライフスタイルに合わせて外用剤を処方しています。
無理なく続けられるスキンケアで、肌本来の美しさを引き出すお手伝いをしています。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞