多汗症の治療について〜皮膚科学会ガイドラインに沿った安心の診療〜
多汗症とは
「汗っかき」とは違います。
多汗症(たかんしょう)とは、日常生活に支障が出るほど汗が多く出る状態を指します。
特に以下のような部位で悩まれている方は、保険適用での治療が可能です。
- 手のひら(手汗)
- わきの下(ワキ汗)
このような汗を「体質だから仕方ない」とあきらめていませんか?


実は、多汗症は医学的に治療できる疾患です。
当院では、日本皮膚科学会が発行する「原発性局所多汗症診療ガイドライン(2023年改訂)」に沿い、安全で効果の高い治療を提供しています。
治療は皮膚科学会のガイドラインに基づいて行っています
皮膚科学会のガイドラインでは、効果と安全性の観点から治療法の優先順位が定められています。
当院では、このガイドラインに準拠した診療を行っています。
多汗症に対する主な治療法
抗コリン薬の外用薬(ワキ汗・手汗)
近年登場した抗コリン薬の外用薬は、汗が出る信号をブロックする新しい治療法です。
とくに、手のひらや足のうらの多汗症には、現在の第一選択肢として広く使われています。
部位 | 商品名 | 有効成分 |
---|---|---|
ワキ汗 | エクロックゲル® | ソフピロニウム臭化物 |
ワキ汗 | ラピフォートワイプ® | グリコピロニウムトシル酸塩 |
手汗 | アポハイドローション® | オキシブチニン塩酸塩 |
特徴
・対象:ワキ汗・手汗に悩む方
・使用:1日1回塗布
・効果:毎日の発汗量を大きく減らす
・保険適用あり(診断が必要)
日常生活に支障がある方には、皮膚に塗るだけの簡単な治療として有効です。
ボトックス注射(ワキ汗)
ワキ汗に対しては、厚生労働省に認可された保険治療であるボトックス注射を行います。
発汗をコントロールする神経を一時的にブロックすることで、数か月間、発汗を抑えることができます。
概要
・対象:脇汗が多く、日常生活に支障のある方
・方法:皮膚に少量ずつ注射(数分で完了)
・効果:2~3日後から発汗が軽減し、4~6か月持続
・保険適用あり(診断基準に準拠)
「汗ジミで服を着替える」「塗り薬だけでは不十分」という方に効果的な選択肢です。
塩化アルミニウム外用薬(軽症の場合)
汗腺の出口をふさぐ作用により発汗を抑える外用薬です。
軽症の方や、まず治療を試したい方におすすめの方法です。
当院では、肌への刺激が少ないタイプの「パースピレックス®」を販売しています。
※自由診療となります。
当院の特長
- 皮膚科学会の最新ガイドラインに準拠した治療を提供
- ワキ汗・手汗には抗コリン薬を保険処方
- ワキ汗には保険適用のボトックス注射に対
- 診察から治療まで皮膚科専門医が丁寧に対応
よくあるご相談内容
- 手汗で書類が濡れてしまう
- スマートフォンがすべって使いにくい
- 脇汗が服にしみて恥ずかしい
- 市販の制汗剤が効かない
こういったお悩みは、医療の力で改善することが可能です。
まとめ
多汗症は、皮膚科でしっかりと診断・治療ができる病気です。
当院では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づき、エビデンスに基づいた安全な治療をご提案しています。
「汗の悩み、どうしたらいいかわからない」そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。


執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞