肝斑(かんぱん)とは
肝斑とは、30代以降の女性に多く見られる、顔の左右対称にぼんやりと現れるシミの一種です。特に頬骨あたり、額、口周りなどに現れることが多いのが特徴です。 紫外線だけでなく、不適切なスキンケアによる摩擦、女性ホルモンの影響、ストレスなどが原因とされており、一般的なシミ(老人性色素斑)やそばかすとは異なる性質を持っています。


肝斑の診断は非常に難しい
肝斑は他のシミと見た目が似ていることも多く、自己判断や経験の少ない医師による診断では間違われやすいシミです。
誤診されやすい代表的な疾患
- 老人性色素斑:丸いスポット的なシミ
- 炎症後色素沈着:ケガや湿疹の後に出る茶色の色素斑
- ADM(後天性真皮メラノサイトーシス):ほほ骨やこめかみにでて青紫の色が出るシミ


肝斑にはスポットでのレーザーやフォト治療が逆効果になることもあり、誤った治療はかえって悪化させてしまうリスクがあります。だからこそ、正確な診断と専門的な治療が非常に重要です。
肝斑の診断と治療は皮膚科専門医へ
当院では、皮膚科専門医が肌の状態を丁寧に診察し、肝斑かどうかをしっかりと見極めます。 肝斑と診断された場合には、患者さん一人ひとりに合わせた適切な治療をご提案しています。肝斑と他のシミの合併も珍しくなく、どのような治療方針をとるかを丁寧にご説明し、納得いただいた上で治療を進めていきます。
肝斑とスキンケアの関係
正しいスキンケア指導を行っています。
肝斑は紫外線やホルモンバランスの乱れに加えて、「スキンケアの摩擦」も大きな原因となります。
肌をゴシゴシこすったり、パッティング・マッサージで刺激を与えることで、肝斑が悪化する場合もあります。
当院のスキンケア指導
当院では初診時にスキンケア習慣について詳しく問診し、肝斑に適した「こすらずスキンケア」の指導を徹底しています。
また、肌質や症状に応じて低刺激で効果的なスキンケア製品もご提案しております。
このような方はご相談ください
- 肝斑がなかなか改善しない
- スキンケアに不安がある
- 自己流ケアを続けている
- 肌をついこすってしまう
スキンケアの見直しは肝斑治療の第一歩です。自己流のスキンケアで悪化する前に、ぜひ当院へご相談ください。
当院の肝斑治療
肝斑は一度で完治するものではありません。状態に応じた複数の治療を組み合わせ、継続的なケアが必要です。
内服治療
- トラネキサム酸
- ビタミンC
外用治療
- ハイドロキノンなどの美白外用薬
- トラネキサム酸
- ビタミンC誘導体
- シスペラ
施術メニュー
- グリコール酸ピーリング
- エレクトロポレーション
- StarWalker®トーニング(肝斑対応のレーザートーニング)
- サーマニードル®(マイクロニードルRF)
グリコール酸ピーリング+エレクトロポレーションによるトランサミン導入とは
この治療は、グリコール酸で古い角質を除去しターンオーバーを促進すると同時に、エレクトロポレーションによりトラネキサム酸などの有効成分を肌の奥深くまで浸透させる施術です。
特徴
- ターンオーバーを促進し、メラニン排出と浸透力を高める
- 針を使わずに有効成分を真皮層へ届ける
- 肝斑だけでなく、肌全体の透明感・なめらかさの向上
- ダウンタイムが少なく、敏感肌の方にも安心
導入する主な成分
- トラネキサム酸
- ビタミンC誘導体
- ヒアルロン酸などの保湿成分
定期的な施術を行うことで、肝斑の予防と改善を安定して目指せます。
StarWalker®(レーザー)トーニングとは|肝斑にやさしいレーザー治療
StarWalker®トーニングは、出力を抑えたマイルドなレーザーを顔全体に照射し、刺激を与えずに少しずつメラニンを排出していく治療です。
特徴
- 肝斑を悪化させにくい低出力設定
- 回数を重ねるごとに改善を実感
- トーンアップ・毛穴改善効果も
- 他治療との併用で相乗効果
治療回数の目安
1〜2週間ごとの施術を5〜10回継続することで、徐々に肌状態が安定し再発を予防します。
サーマニードル®(マイクロニードルRF)とは|真皮層に働きかける新しいRF治療
サーマニードル®は、極細の針で真皮層に高周波(RF)を照射し、炎症改善・コラーゲン生成促進・メラノサイト抑制を目的とした治療です。
特徴
- 真皮層に直接穿刺し、肝斑の原因に直接アプローチ
- 表皮へのダメージが少なく悪化リスクを軽減
- 有効成分の浸透性も高まる
- 毛穴やハリの改善にも効果的
肝斑治療における併用治療のポイント
複数の治療法を組み合わせることで、効果を最大化し再発を防ぐことができます。
治療法 | 治療法 | 特徴 |
---|---|---|
トラネキサム酸内服 | 炎症・色素沈着抑制 | 継続服用で効果安定 |
外用薬 | メラニン生成抑制 | 毎日のスキンケアに取り入れやすい |
レーザートーニング | メラニン除去 | 安全性の高いマイルド照射 |
サーマニードル | 真皮加熱+再生 | 肝斑以外の肌悩みにも有効 |
グリコール酸+導入 | 成分浸透・排出促進 | 肌質改善と同時進行可能 |
まとめ
肝斑は一度の治療で完治するものではなく、正しい診断と多角的な治療の組み合わせが非常に重要です。
「これって肝斑かも?」と感じたら、まずは専門医の診察を受けることをおすすめします。
当院では、皮膚科専門医が丁寧に診察し、患者さんそれぞれの肌に合った治療をご提案しています。お気軽にご相談ください。
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執筆者
身原 京美
院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック
当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。
皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。
皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。
取得資格
日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞