酒さ・赤ら顔

Medical
目次

    1. 概要

    「酒さ(rosacea)」とは、顔面特に頬・鼻・額・あごといった部位に持続的な紅斑(赤み)や毛細血管拡張、小さな丘疹・膿疱を伴う慢性炎症性皮膚疾患です。また、時に眼部(「眼型酒さ」)や鼻部の肥厚(いわゆる「酒渣鼻」)を伴うこともあります。
    「赤ら顔」という表現においても、酒さが原因となる赤み・ほてり・血管拡張症状を指すケースが多く、早期に適切な診断・管理を行うことで、症状の悪化を防ぐことが大切です。


    2. 症状とサイン

    ■ 主な症状

    • 顔の中央部(頬・鼻・額・あごなど)に、比較的持続的な赤み(紅斑)がある。
    • 細い血管(毛細血管拡張)が皮膚表面に見える。
    • 丘疹(小さなふくらみ)・膿疱(白や黄色っぽいぷつぷつ)が出現する場合あり。
    • 「顔がほてる」「火照る」「赤みが出やすい」といった自覚症状。
    • 眼の違和感(乾燥、かゆみ、充血、涙目など)が伴う「眼型酒さ」の場合も。

    ■ “赤ら顔”として注意すべきポイント

    一過性の顔のほてり(フラッシング)だけではなく、持続的・段階的に症状が進行している場合。

    赤みが出るトリガー(刺激)に心当たりがある(例:アルコール・辛い食事・熱い飲み物・気温差・日光など)→ 典型的な誘因です。

    ステロイド外用を長期間行った顔面に似た症状が出た場合(ステロイド誘発型酒さ)も要注意です。


    3. 原因・病態メカニズム

    酒さの明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような因子が複合的に関与していると考えられています:

    • 血管・神経異常:皮膚の血管拡張・血流変化・神経反応性が亢進していること。
    • 慢性炎症・免疫活性化:皮膚のバリア機能低下、マクロファージ・好中球などの関与。
    • 微生物要因:顔面常在菌(例:Demodex folliculorum)の増加も指摘されており、炎症反応を助長する可能性あり。
    • 誘発因子(トリガー):アルコール、辛味、熱い飲み物、強い日光、気温差、ストレスなど。これらが“紅斑・フラッシング”を発端に症状を促進することがあります。
    • 遺伝的・環境的背景:日本における患者像の報告では、平均初診年齢が50歳台で、女性の比率が高いというデータもあります。

    4. 診断のポイント

    問診で「どのような時に赤くなるか」「どのくらい持続しているか」「刺激因子・誘発因子があるか」を確認します。

    視診では、赤み(持続性の紅斑)、毛細血管拡張、丘疹・膿疱、鼻部の肥厚変化などを評価。

    他の赤ら顔原因(例:酒さ以外の紅斑性疾患、アトピー・接触皮膚炎、ステロイド誘発性皮膚炎)などとの鑑別が重要です。

    日本国内の実例では、温度差や日光暴露が症状悪化因子として頻繁に報告されています。


    5. 当院での治療方針(身原皮ふ科形成外科クリニック)

    当院では以下のような包括的アプローチで酒さ・赤ら顔を診療しております:

    • 刺激物やアルコール、日光、ストレス、運動、香辛料など悪化させる要因のあるものをさけるよう指導します。誘因がはっきりしないことも多く、その場合には一般的に増悪する可能性があるものをご指導します。
    • 刺激の少ない、こすらないスキンケア・日焼け止めの適正使用を徹底します。

    外用治療・内服治療

    • 当院では日本で実臨床データのある外用治療(例:メトロニダゾール外用剤・硫黄ローション)を症状・タイプに応じてご提案しています。日本の実診療報告では、硫黄ローションとメトロニダゾール外用でともに有効性が報告されています。
    • 必要に応じて、内服療法(例:ドキシサイクリン)やレーザー・光治療といったデバイス併用も検討します。

    レーザー・光治療および血管拡張部のケア

    • 難治性の赤みが目立つ場合には、レーザー・光治療をご提案することもあります。
    • 自費の外用剤として、ビタミンCやアゼライン酸もご用意しています。
    • また、日々のスキンケアに加えて、肌のバリア機能改善・保湿を併用し、再発予防にも注力します。
    • クラリティフェイシャルおためし16,500円 5回110,000円
    • リスク・副作用 施術時の痛み 治療後の赤み・乾燥

    経過観察と生活習慣指導

    酒さは慢性の経過をたどることが多いため、定期的なフォローを行います。

    • 根気よく治療を続けることが大切です。

    6. よくあるご質問(FAQ)

    Q1: 酒さは治りますか?
    A: 完全な「根治」が確立されているわけではありませんが、早期発見・適切な治療・生活指導を組み合わせることで、症状を安定化させ、発作的な赤み・ほてりを抑えることが可能です。

    Q2: アルコールを飲んではいけないのでしょうか?
    A: アルコールは典型的な誘発因子の一つです。全く禁止というわけではありませんが、赤みが出やすい方は量を控える・飲酒後に赤くなったら休むなどの工夫が有効です。

    Q3: 化粧品や日焼け止めは使えますか?
    A: 低刺激性・無香料・アルコールフリー・敏感肌用の製品をおすすめします。日焼け止めは紫外線・熱刺激・血管拡張予防に非常に重要です。

    Q4: 血管レーザーを受けたら赤みが即消えますか?
    A: 毛細血管拡張の改善にはレーザー治療が非常に有効ですが、治療後も再発の可能性がありますので、スキンケア・誘発因子回避・定期フォローが不可欠です。


    7. まとめ

    • 酒さ・赤ら顔は「放置すると進行してしまう可能性のある」顔面の慢性炎症性疾患です。
    • 早期に症状を把握し、誘発因子を避けつつ、適切な治療・スキンケア・生活習慣改善を行うことが重要です。
    • 当院では、丁寧なカウンセリングから外用・内服・レーザー治療まで一貫した診療を行っており、患者さまお一人おひとりに合わせたプランをご提案いたします。

    どうぞお気軽にご相談ください。