傷跡(ケロイド)

Medical

傷跡・ケロイドとは

ケガや手術、ニキビ、やけどなど、皮膚のダメージが治る過程でできる盛り上がった痕や硬いしこりのようなものを、「傷跡(瘢痕)」または「ケロイド」といいます。

  • 傷跡(肥厚性瘢痕):赤みや盛り上がりがあるが、時間と共に落ち着く傾向がある
  • ケロイド:傷の範囲を越えて盛り上がり、かゆみ・痛みを伴うことも。自然には治りにくい。記憶にないような軽い傷やニキビ跡、ピアスホールからも生じる。

特にケロイドは、体質的な要因や、皮膚の張力がかかる部位(胸元・肩・背中・耳など)にできやすい傾向があります。

原因

  • ケガややけどなどの外傷や手術後の瘢痕形成
  • ニキビ・毛穴トラブル後の炎症
  • ピアスやタトゥーなどによる刺激
  • 遺伝的・体質的な要因
  • 皮膚に強いテンション(引っ張り)がかかる部位

特徴と見分け方

種類特徴改善傾向
肥厚性瘢痕傷の範囲内に赤み・盛り上がり時間経過で徐々に落ち着くことも
ケロイド傷の範囲を超えて広がる。赤く硬い 無秩序に大きくなることも自然治癒しにくく、進行する場合も

強いかゆみや痛みを伴う場合、ケロイドの可能性が高いです。

傷跡・ケロイドの治療法

傷跡・ケロイドの治療は何年もかかることが少なくありません。

完全に盛り上がりや赤みがなくなって、柔らかくなる(成熟瘢痕)になるまで根気よく治療を続けることが大切です。

1. 外用薬・貼付剤による治療

  • ステロイド外用薬(炎症・赤みを抑える) 主にテープ剤が使用されます。
  • テープ療法(圧迫+保護)
  • シリコンジェルシート(瘢痕の平坦化・保湿)

2. 注射治療(局所注射)

  • ケナコルト注射(副腎皮質ステロイド):ケロイドの炎症を抑え、盛り上がりを改善
    痛みを伴うが、直接病変内に薬剤を注入でき、効果が期待できる治療法
  • 広い面積には不適

3. 外科的切除・再縫合

  • 難治性のケロイドに対して、外科的に切除+予防処置(圧迫や放射線療法)を併用

4. 内服治療

  • トラニラスト(抗アレルギー薬)、柴苓湯(漢方薬)

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身原 弘哉

執筆者

身原 弘哉

医師 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

形成外科は、外傷や傷跡、皮膚腫瘍など、見た目の美しさと機能の回復を両立させる診療科です。患者さんの「気になる」や「つらい」を、丁寧に受け止め、一人ひとりにとって最適な治療を提案することが私の役目です。
私は現在も総合病院にて乳がんや頭頚部がんの再建、大きな外傷に対する再建手術など、全身麻酔による形成外科手術を多数担当しておりますが、当院では局所麻酔で対応可能な形成外科手術に特化し、日帰りで可能な治療を中心に行っております。

取得資格

一般社団法人日本形成外科学会 専門医 一般社団法人日本形成外科学会 指導医 一般社団法人日本形成外科学会 皮膚腫瘍外科領域指導医 一般社団法人日本形成外科学会 小児形成外科領域指導医 一般社団法人日本形成外科学会 再建・マイクロサージャリー領域指導医 一般社団法人日本口蓋裂学会 口唇裂・口蓋裂認定師 乳房再建用エキスパンダー・インプラント責任医師 乳房増大用エキスパンダー・インプラント責任医師 一般社団法人日本形成外科学会 評議員