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皮膚科・形成外科

身原皮ふ科・形成外科クリニック
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院長ブログ

タイトル一覧

2025/4/15 尋常性白斑(しんじょうせいはくはん)の最新治療法|2025年版ガイドラインからわかる正しい診断と治療

2025/4/3 アトピー性皮膚炎における「TtoT」と「SDM」とは?

2025/3/18 当院に皮膚科学会認定皮膚疾患ケア看護師が誕生しました!

2025/3/4 マスクの素材と皮膚トラブル

2025/2/17 金属アレルギーについて

2025/2/1 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:巻き爪・陥入爪について

2025/1/13 【皮膚科医が解説】「塗り薬」の種類と選び方|軟膏・クリーム・ローションの違いとは?

2025/1/7 【手術・切開】粉瘤治療にういて詳しく解説 専門医が分かりやすく解説します!

2024/12/16  ビタミン剤は安全?

2024/12/6  化粧品かぶれの原因は?

2024/11/28  皮膚から内臓の病気ってわかるの?

2024/11/10  日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」が公表

2024/10/21 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:爪の健康について

2024/10/15 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:ヘアカラーによるアレルギーについて

2024/10/15 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に今回も2回出演しました。

2024/9/19 中国新聞に院長の取材記事が掲載されました

2024/7/30 アトピー性皮膚炎の注射薬について

2024/7/6 ステロイドの副作用について

2024/6/22 日刊ゲンダイヘルスケアにインタビュー記事が掲載されています!

2024/6/14 多汗症について

2024/6/5 日光アレルギーについて

2024/5/21 毛虫皮膚炎について

2024/5/4 繰り返す口唇や性器ヘルペスの治療について

2024/3/29 日刊ゲンダイヘルスケアにインタビュー記事が掲載されています!

2024/3/8 低温熱傷について

2024/2/27 水虫について

2024/2/20 花粉と皮ふ

2024/2/17 肝斑の診断・治療の難しさ

2024/2/4 キズの手当

2024/2/1 しもやけにご用心

2024/1/17 アトピー性皮膚炎の注射薬、デュピクセントが小児に使えるようになりました。

2024/1/7 今年もよろしくお願いします。

2023/12/22 皮膚科で処方する医療用保湿剤

2023/12/16 乾燥肌には”落としすぎない入浴法”がカギ!

2023/12/11 乾燥肌とは


2025/4/15 尋常性白斑(しんじょうせいはくはん)の最新治療法|2025年版ガイドラインからわかる正しい診断と治療

尋常性白斑は、皮膚の色素が部分的に失われ、白いまだら状の斑点ができる病気です。日本人を含む世界中で見られる病気で、見た目への影響が大きいため、精神的ストレスや生活の質(QOL)に深く関わります。


尋常性白斑の原因と特徴

  • メラノサイト(色素細胞)の破壊によるもの

  • 後天的に発症することが多い

  • 遺伝的な要因や自己免疫、酸化ストレスなどが関与

  • 全身のどこにでも発症するが、顔、手足、体幹などに多い


2025年版ガイドラインのポイント

① 診断の基本

・白斑ができる病気は多いため、まずは専門医による正確な診断が重要です
・ウッド灯(特殊な紫外線ライト)や皮膚の観察で診断を行います
・鑑別診断(他の病気との区別)が大切です


② 治療の考え方

治療は症状や患者さんの希望に合わせて行います。ガイドラインでは、次の治療が推奨されています。

主な治療法

治療法内容特徴
外用ステロイド薬炎症を抑える軽症例に有効
タクロリムス軟膏免疫を調整顔や首などに使用
ナローバンドUVB療法紫外線治療広い範囲にも対応
エキシマライト部分的な紫外線照射小範囲の治療に効果的
手術治療皮膚移植やメラノサイト移植難治例に適応

③ 治療目標

・自然な肌色への再着色
・患者さんの希望に寄り添った治療方針
・早期の治療開始が効果的


④ 新たに追加された内容

・グローバルな治療指針(海外の最新知見)を反映
・保険適用外の治療でもエビデンス(医学的根拠)があれば紹介
・治療の選択は患者さんと相談しながら進めるShared Decision Making(SDM)の考え方が重要

なかなか特効薬のない白斑ですが、当院では診断と外用療法までを行っています。

参考文献:日本皮膚科学会誌 2025年 135 巻 3号 485-525


2025/4/3 アトピー性皮膚炎における「TtoT」と「SDM」とは?

〜最新の知見に基づいた質の高い治療を目指して〜

◆ TtoT(Treat to Target)とは?

アトピー性皮膚炎の治療では、**TtoT(トリート・トゥ・ターゲット)**という考え方が注目されています。これは、症状の改善を「目標(ターゲット)」として定め、そこに向かって計画的に治療を進めていく方法です。

従来のように「かゆみがひどくなった時だけ治療する」という対症療法から一歩進み、再燃しにくく、日常生活に支障の少ない状態を継続的に維持することを重視します。

私自身、先日開催された**全国講演会(アトピー性皮膚炎治療の最新動向に関するエキスパートによる講演会)**に参加し、このTtoTの有効性と重要性について最新の研究や国内外の実践例を学んできました。
新しい外用薬や内服薬、生物学的製剤(バイオ製剤)を活用しながら、科学的根拠に基づいた治療を提供することの大切さを再認識しています。


◆ SDM(Shared Decision Making)とは?

SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)は、「共同意思決定」と訳され、医師と患者さんが対等な立場で情報を共有し、一緒に治療方針を決めていく考え方です。

特にアトピー性皮膚炎のように慢性的で個人差の大きい疾患においては、患者さんの価値観や生活スタイル、将来の希望をふまえたうえで治療を選ぶことが大切です。

講演会では、SDMが治療の継続率や満足度に良い影響を与えることが最新のエビデンスとして報告されており、医療者側の説明スキルやコミュニケーションの質も問われていることを学びました。


◆ TtoTとSDMの両立が、より良いアトピー治療を支えます

TtoTによって「治療のゴール」を明確にし、SDMによって「その道筋を一緒に考える」。この2つのアプローチを融合させることが、アトピー性皮膚炎の質の高い治療につながります。

当院では、全国の皮膚科専門医や研究者から学んだ最新の知見を日々の診療に反映し、患者さんと一緒にゴールを見据えた、納得と安心のある治療を提供しています。

「この症状、いつまで続くんだろう…」「治療、これで合ってるのかな?」といった不安がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
一緒に、より良い肌の状態を目指していきましょう。

 

2025/3/18 当院に皮膚科学会認定皮膚疾患ケア看護師が誕生しました!

当院の看護主任宮本看護師が日本皮膚科学会より皮膚疾患ケア看護師として認定されました! これは、何年もの皮膚科の看護経験にプラスして、定められた講習の受講、さらには看護した患者さんのケースレポート(しかも皮膚疾患の定められたカテゴリーを満たす必要があります)を作成して日本皮膚科学会に提出し、学会認定ナースとして相応しいかを審査された後に認定されるものです。 宮本主任はいつも勉強熱心で、クリニックがいかに安全に運営され、患者さんのお役に立てるかを考えてみんなのために動いてくれています。 しかも人柄も優しく、いつも私とクリニックを支えてくれています。 彼女の日頃の頑張りが認められたようで、私もとっても嬉しい思いです🩷 これからも皮膚科学・形成外科学に基づく「正しい治療、正しい看護」を続けて参ります!

 

当院の看護主任宮本看護師が日本皮膚科学会より皮膚疾患ケア看護師として認定されました! これは、何年もの皮膚科の看護経験にプラスして、定められた講習の受講、さらには看護した患者さんのケースレポート(しかも皮膚疾患の定められたカテゴリーを満たす必要があります)を作成して日本皮膚科学会に提出し、学会認定ナースとして相応しいかを審査された後に認定されるものです。 宮本主任はいつも勉強熱心で、クリニックがいかに安全に運営され、患者さんのお役に立てるかを考えてみんなのために動いてくれています。 しかも人柄も優しく、いつも私とクリニックを支えてくれています。 彼女の日頃の頑張りが認められたようで、私もとっても嬉しい思いです🩷 これからも皮膚科学・形成外科学に基づく「正しい治療、正しい看護」を続けて参ります!

 

2025/3/4 マスクの素材と皮膚トラブル

新型コロナウイルスやインフルエンザ流行により、マスクの着用頻度が増え、それに伴い皮膚トラブルを訴える人もコロナ禍では沢山おられました。

最近も花粉症などでマスクが手放せない方は沢山おられます。

マスクの素材と、皮膚トラブルはどのように関係するのでしょうか?

マスク素材の特性

マスクには、不織布、ウレタン、布、ガーゼなどさまざまな種類があり、

それぞれの層構造や通気性、摩擦性、遮光性能が異なります。

特に、不織布マスクは2〜4層の構造を持ち、

ウイルスや微粒子を捕集する機能が高いのですが、通気性が低くなりがちです。

一方、ウレタンマスクは通気性が高いものの、ウイルス防御効果は低く、

摩擦が強いため肌への刺激が大きいことが判明しています。


マスクによる皮膚障害

皮膚科を受診した47.6%がマスクによる皮膚トラブルを経験していたという報告があります。

特に20〜30代の女性に多く、症状としては「かゆみ」「にきび」「赤み」が多いとされています。

また、不織布マスクによる影響が最も多く、次いでウレタンマスクの使用者にも皮膚トラブルが見られました。


正しいマスクの使用方法とスキンケア

適切なマスクの使用方法やスキンケアの指導を受けると、

4週間後に皮膚のバリア機能が改善し、炎症や乾燥の軽減がしたとされます。

特に、不織布マスクの内側にガーゼを挟むことで肌への負担を軽減できることも指摘されています。

また、マスクには十分な遮光効果がないため、紫外線対策として日焼け止めの併用が推奨されます。

まとめ

マスクによる皮膚トラブルを防ぐためには、適切なマスクの選び方と正しいスキンケアが重要です。

特に、不織布マスクを使用する場合は、内側にガーゼを挟むなどの工夫をすることで肌への負担を軽減できます。

マスクを着用する際には、通気性・摩擦・遮光性能などの特性を理解し、自分の肌に合った対策を取り入れましょう。


参考文献:日本皮膚科学会誌 2025年 135 巻 1 号 59-72

 

2025/2/17 金属アレルギーについて


金属アレルギーとは?

金属アレルギーは、金属が体に触れたり、食品や歯科金属を通じて体内に取り込まれたりすることで、かゆみ、湿疹、赤み などのアレルギー反応が起こる症状です。

大きく以下の2種類に分かれます。

  1. 金属接触アレルギー:金属が肌に触れることで起こるアレルギー
  2. 全身型金属アレルギー:食品や歯科金属を通じて体内に取り込まれ、全身に症状が現れるアレルギー

1. 金属接触アレルギー

金属が直接肌に触れることで起こるアレルギー反応 です。

症状

  • 赤み、かゆみ、水ぶくれ、ブツブツ などが、金属が触れた部分に現れます。
  • 接触が続くと、かぶれ湿疹が広がる こともあります。

原因となる主な金属と特徴

  1. ニッケル

    • 含まれるもの:ピアス、ネックレス、眼鏡フレーム、留め金、ステンレス製品、歯科金属など
    • 特徴:パッチテストの陽性率は 20〜25% と高く、特に 女性に多い です。
    • 注意点:歯科金属に含まれる パラジウム と交差反応を起こすことがあります。
  2. コバルト

    • 含まれるもの:メッキ製品、絵の具、クレヨン、セメント、革製品など
    • 特徴:パッチテスト陽性率は 8% で、男女差はありません
  3. クロム

    • 含まれるもの:メッキ製品、皮革製品(なめし加工)、色素、染料など
    • 特徴:最近は陽性率が 減少傾向 にあり、2.3% です。男性にやや多く 見られます。
  4. 水銀

    • 含まれるもの:歯科アマルガム、水銀体温計(デジタル化前のもの)など
    • 特徴:陽性率は 7% ですが、使用頻度が減少しており、今後さらに低下する見込みです。
    • 含まれるもの:貴金属(アクセサリー)、ピアス、歯のかぶせ物など
    • 特徴2016年のパッチテスト陽性率は 23.2% で、特に女性に多く見られます。

診断と対策

  • 診断方法:皮膚科で パッチテスト を受けて、原因となる金属を特定します。
  • 対策
    • 原因金属を含む製品(アクセサリー、時計、ステンレス製品など)を避ける
    • 歯科金属が原因の場合、金属を使わない素材に交換する


2. 全身型金属アレルギー

食品や歯科金属を通じて体内に取り込まれた金属 により、全身にアレルギー症状が現れる タイプです。

症状

  • 汗疱状湿疹(手や足に小さな水ぶくれができる)
  • 亜急性痒疹、多形慢性痒疹、貨幣状湿疹
  • 扁平苔癬(口内炎のような症状)、紅皮症 など、全身に症状が現れることがあります。

原因

  • 食品や飲み物に含まれる ニッケル、コバルト、クロム が原因になることが多いです。
  • 歯科金属ステンレス製の調理器具 からも微量の金属が体内に取り込まれることがあります。

含まれる食品の例

  • ニッケル:チョコレート、豆類(大豆、ピーナッツなど)、ナッツ類、貝類、ココア
  • コバルト:ココア、ビール、豆類
  • クロム:オートミール、玄米、蕎麦、肝臓、貝類

診断と対策

  • 診断方法:パッチテスト、内服テスト、食事制限による症状の変化の確認
  • 対策
    • 金属制限食:原因となる金属を多く含む食品を控える
    • 調理器具の見直し:ステンレス製品を避け、ガラスやセラミック製のものを使用する
    • 歯科金属の交換:原因金属を含まない素材に変更する

まとめ

金属アレルギーは、金属接触アレルギー全身型金属アレルギー に分かれ、それぞれ原因や対策が異なります。

  • 金属接触アレルギー:金属が肌に触れることで起こるため、原因の特定と接触回避が重要です。
  • 全身型金属アレルギー:食品や歯科金属を通じて体内に取り込まれるため、食事制限歯科金属の見直し が有効です。

症状が続く場合は、皮膚科での検査・診断を受け、適切な対策を取りましょう。

※当院ではパッチテストは施行しておらず、他院へのご紹介となります。


参考文献:日本皮膚科学会誌 2025年 135 巻 1 号 37-43

 

2025/2/1 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:巻き爪・陥入爪について

RCCラジオ「まるっと日常ワイド えんまん」に出演し

1/28 火曜日 「巻き爪・陥入爪」についてお話しました。

その時の内容を元にして「巻き爪・陥入爪」について解説させていただきます。


Q/巻き爪とは、具体的にどんな症状ですか? 

痛みがあるものでしょうか?

巻き爪とは文字通り爪が巻いている状態を指し、痛みがある場合も無い場合もあります。

巻き爪やその他の理由により、爪が皮膚に食い込んで痛みや炎症が起こったものを陥入爪といいます。

 

 

Q/なぜ「巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)」になってしまうんですか?

症状の原因は?

巻き爪になる原因は、足底からの力不足が最も大きいとされており、爪は伸ばすと自然に巻く性質があり、それに抵抗する力が不足するためと考えられます。

足趾裏に十分な力が加わらない原因としては、ハイヒールの常用や寝たきり状態、外反母趾、偏平足や凹足(土踏まずが高くアーチが高い)などの足変形が原因として考えられます。

 

Q/(なんとなく、ヒールを履く女性に多いイメージがありますが、)

実際はどんな方に多いですか? 誰でもなってしまう可能性がありますか?

ヒールを履いて外反母趾になっている方に多いのと、前述のとおりハイヒール自体が足趾への荷重が不十分になる(足趾でなく、根本の部分に体重が乗る)ことも原因かと考えられます。

 

Q/症状が悪化するとどうなってしまうんでしょうか?

痛かったら受診した方がいい?

痛みがある場合は受診をおすすめします。痛みがあるということは、単なる爪の変形だけでなく皮膚に爪が食い込んでいる可能性が高く、放置しておくと肉芽が盛ってきて、強い痛みを伴い治りにくい状態になることもあります。

また感染を起こして腫れたり、より強い痛みが出るなどの可能性もあります。

 

Q/導入でも触れましたが、冬に悪化しやすい、という説も聞きます。

これって本当ですか?

これは実感としてあまりありませんし、言われていることでもありません。

サンダルなどを履く夏は悪化しにくいということでしょうか?

 

Q/どんな治療法がありますか? 手術するようなこともあるのでしょうか?

爪の変形自体を治す薬はありません。

巻き爪は手術しても再発が多く、最近手術はあまり行われなくなっています。基本的には矯正をしていきます。

当院では自費でワイヤー治療をしています。

また外反母趾の方に対しては装具の案内、ひどい場合には整形外科にご紹介もしています。足底板を作成してくれる靴屋さんもご紹介しています。

 

Q/再発してしまうこともあるんでしょうか?

(再発を防ぐには、どんなことを気にしておけばいいですか?)

爪の切り方や靴の選択などに注意することが、ご自分でできることかと思います。


 

2025/1/13 【皮膚科医が解説】「塗り薬」の種類と選び方|軟膏・クリーム・ローションの違いとは?

今回は、**皮膚科でよく使われる「塗り薬」**について、わかりやすく解説します。

「軟膏」「クリーム」「ローション」など、塗り薬にはさまざまな種類がありますが、それぞれの特徴を知ることで、自分に合ったものを選びやすくなります。

1. 軟膏:乾燥肌や荒れた肌に最適な救世主

  • 特徴:ほぼ油でできており、皮膚をしっかり保護します。乾燥がひどい部分や荒れたお肌に特におすすめ!
  • デメリット:べたつきが強いため、広範囲に塗る際には少し使いにくいことも。

2. クリーム:使いやすさ抜群!2つのタイプを知ろう

クリームは、大きく分けて**「油中水型」「水中油型」**の2種類があります。

油中水型(油多め)

  • :ヒルドイドソフト、ネリゾナユニバーサルクリーム
  • 特徴:保湿力が高く、軟膏ほどべたつかないため、使いやすいのが魅力です。

水中油型(水多め)

  • :ヒルドイドクリーム
  • 特徴:さっぱりした塗り心地で、べたつきが苦手な方にもおすすめ!

3. ローション:広範囲に塗りやすい液体タイプ

  • 特徴:さらに水分が多く、液体状で広範囲にスルッと塗れるのがポイント!べたつき感が少ないため、顔や全身にも使いやすいです。
  • :ヒルドイドローション

4. フォームタイプ:新感覚の使い心地!

  • 特徴:油分を含まないタイプはさらさらした使用感。一方、油分を含むものは保湿力がありつつ、少しべたつくこともあります。
  • :ヒルドイドフォーム(※油分なしのさらさらタイプ)

皮膚科医が考える塗り薬選びのポイント

症状や部位、塗る範囲によって最適な塗り薬は変わります。
また、「べたつきが苦手」「さらっとした使用感が好き」など、患者さんのお好みも重要です。

私たち皮膚科医は、患者さんの症状ライフスタイルを考慮しながら、最適な塗り薬を提案しています。


まとめ:迷ったら皮膚科医に相談を!

塗り薬は、「症状」「使う部位」「塗る範囲」によって選び方が変わります。
どれを選べば良いか迷ったときは、ぜひ皮膚科医にご相談ください!

あなたにぴったりの塗り薬を一緒に見つけましょう。


2025/1/7 【手術・切開】粉瘤治療にういて詳しく解説 専門医が分かりやすく解説します!

明けましておめでとうございます!

皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

当院では1月4日から診療を開始しておりますが、年明け早々多くの患者さまにご来院いただいております。特に「粉瘤(ふんりゅう)の感染」に関するご相談が増えています。

粉瘤とは?症状と原因

粉瘤は、皮膚表面や毛穴の一部が真皮内に入り込むことで発生します。これにより、袋状の構造が形成され、中に**角質(垢)**が溜まり腫れてしまう状態です。
「脂肪のかたまり」と思われる方も多いですが、実際は中身は脂肪ではなく角質です。

粉瘤 | 八丁堀(広島)の皮膚科・美容皮膚科・小手術|身原皮ふ科・形成外科クリニック

感染していない段階では痛みはないのですが、感染すると赤く腫れて痛みを伴うようになります。


粉瘤治療の基本:「切除」と「切開」の違い

根本治療は「切除」

粉瘤を完全に治すためには、手術による切除が必要です。ただし、感染して腫れている状態では切除手術が難しく、代わりに「切開」が適応となります。


感染した粉瘤には「切開」が有効

感染がある場合、まずは「切開」による膿の排出を行います。膿が溜まった状態では抗生物質が効きにくいため、血流のない物質を取り除き、感染をコントロールすることが最優先です。
膿の排出後は、定期的な洗浄と傷の処置が重要になります。


の画像

再発リスクとその後の対応

感染が治った後、粉瘤の袋状構造が癒着して自然治癒する場合もありますが、袋が残っていると再発する可能性があります。
そのため、皮膚の状態が落ち着いた後に再発リスクを確認し、必要に応じて切除手術を検討します。

また、切開後に再発がない場合でも、当院では傷あとのケアもしっかりご指導し、肥厚性瘢痕やケロイドを生じた場合でも皮膚科・形成外科専門医が治療させていただきます。

悩みなら早めの診察を

粉瘤は放置すると感染や再発のリスクが高まるため、早めの受診が大切です。当院では、粉瘤治療に関する経験豊富な医師が診療にあたります。
広島市八丁堀エリアで粉瘤治療をご希望の方は、身原皮ふ科・形成外科クリニックまでお気軽にご相談ください!

アテローム(粉瘤) - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

2024/12/16  ビタミン剤は安全?

当院では、ビタミン剤の内服については原則として処方しておりません。

この方針には、以下のような科学的な根拠と医療現場の現状に基づく理由があります。


保険適応に関する明確な基準

2012年に厚生労働省は、すべてのビタミン剤について以下のように定めました:

  1. 疾患や症状の原因がビタミン欠乏または代謝異常であることが明らかである場合

  2. 必要なビタミンを食事で摂取することが困難である場合や、それに準ずる状況

  3. 医師がその効果を有効と判断した場合

これらに該当しない場合、ビタミン剤の処方は医療保険の対象外とされています。

cyouzai_doukou_topics_h30_04.pdf


エビデンスの不足と医療費の増加

ビタミン剤の多くは、科学的に効果が明確に証明されているとは言えません。「なんとなく良さそう」という慣習的な理由で処方されているケースも少なくありません。その一方で、2012年以降、ビタミン剤に年間約1000億円もの医療費が割かれており、この傾向は上昇しています。


過剰摂取によるリスク

ビタミン剤は適量であれば比較的安全とされていますが、過剰摂取や特定の状況下では副作用が発生する可能性があります。

脂溶性ビタミンのリスク

  • ビタミンA: 頭痛、皮膚の落屑(らくせつ)、脱毛、筋肉痛、骨折リスクの上昇。

  • ビタミンE: 出血傾向の増加、冠動脈疾患の死亡率増加(報告あり)。

  • ビタミンD: 高カルシウム血症、腎障害、石灰化障害。

水溶性ビタミンのリスク

  • ビタミンB1: 頭痛、不眠、いらだち、速脈、かゆみ。

  • ビタミンC: 胃腸への影響(吐き気、下痢、腹痛)。

    • 腎機能障害のある方が大量に摂取した場合、腎結石リスクが増加。

    • 00_1_表紙_cs6_1220.indd「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 厚生労働省 各論ビタミン


皮膚炎のリスクについての報告

最近では、ビタミンC誘導体を含む化粧品による接触皮膚炎(かぶれ)が複数報告されています。

(西日本皮膚科 2024年報告:田代ら 西日本皮膚科86(6)2024:564)


当院の方針

ビタミン剤は決して無害な万能薬ではありません。効果が明確でないにもかかわらず、副作用や医療費負担の増大が懸念されています。当院では以下の理由から、安易なビタミン剤処方を行っておりません。

  • 科学的根拠に基づく医療の提供:ビタミン剤の使用には慎重であるべきです。

  • 副作用リスクの回避:脂溶性・水溶性を問わず、過剰摂取などによる害が報告されています。

  • 医療費の適正化:限られた医療資源を本当に必要な治療に活用する。

栄養バランスの良い食事を心がけましょう

ビタミンを効率よく摂取するためには、栄養バランスの整った食事が基本です。食品から得られるビタミンは、体内での吸収や利用効率が高く、副作用のリスクも低いです。

当院では、患者様の健康を第一に考えた医療をご提供しています。


2024/12/6  化粧品かぶれの原因は?

化粧品は社会生活を送るにあたって、なくてはならないものの一つになっています。

クリニックにもお化粧品でトラブルを起こされたと思われる患者さんのご来院があとをたちません。

私自身も一人の女性として(化粧品は女性のみならず男性にとっても関心事だと思います)メイクは日常的にしていますし、スキンケア用品も使用しており、自身の問題でもあるという思いで拝見しております。

化粧品かぶれを起こしやすい成分にはどんなものがあるのでしょうか?


①防腐剤(パラベン、ブチレングリコール、イソチアゾリンミックスなど)

②香料(国内においては個別の香料名記載義務はなく成分は不明)

③ニッケル(化粧品に使用される酸化鉄中の不純物として含まれることがある)

の3つが代表的なものです。


パッチテストでの陽性率は、2021年現在で

①パラベン1.1%、イソチアゾリンミックス3.3%、②香料ミックス4.1%、③ニッケル26.6%

(Japanese baseline series2015 アレルゲン別陽性率の年次推移PowerPoint プレゼンテーションより)

となっており、誰にでも起こりうるアレルギーです。

アレルギーを起こした製品はもちろん使用を避けなければなりませんが、どのような製品を選ぶのが良いのでしょうか?

これらのアレルギーをおこしやすい成分をなるべく含まない化粧品をえらぶことが大切になります。

クリニックでも取り扱っているセルニューの販売元であるNOVやアクセーヌ社などの製品にはこのような配慮がされています。

また適切なスキンケアをおこない、肌のバリア機能を整えておくこともとても重要です。

荒れた皮膚からは様々なアレルゲンが入りやすくなっているのです。

参考:一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会HP


2024/11/28  皮膚から内臓の病気ってわかるの?

ご来院される患者さんの中には、

「こんなに皮膚が痒い(または皮疹が治らない)のは、身体のどこかが悪いからでは?」

と心配される方が一定数おられます。

はたして、皮膚症状が内臓の病気を表すことはあるのでしょうか?

答えは、「yes」です。

しかしながら、皮膚症状から内臓の病気が分かるのはごく限られた場合です。

その中でも多いのは、キズが治りにくいことから、皮膚がんや糖尿病などのキズが治るのを妨げる病態がみつかることです。

治りにくいキズを見た場合には、使用している薬剤の影響(内服でも外用でも)も考える必要がありますが、単なるキズではなく皮膚がんがあるのではないか、または糖尿病などのキズの治りを妨げる要因が身体にあるのではないかを疑って、皮膚生検や採血検査などをすすめていきます。

全身の病気と関連する皮膚病変は「デルマドローム」と言われ、いくつか存在します。

①皮膚増殖性疾患(黒色表皮腫など)

②紅斑症、紅皮症

③自己免疫性水疱症

④膠原病(皮膚筋炎、全身性強皮症、シェーグレン症候群など)

⑤好中球関連皮膚疾患(Sweet病、壊疽性膿皮症など)

などがありますが、いずれも一目みて判断できるものではなく、慎重に経過をみて治療への反応性なども加味して診断していくことが大切です。

残念ながらどんな皮膚科の名医でも、一目みて潜んでいる病気が分かることはあり得ないのです。

…蛇足ながら、このような皮膚疾患はまれで、たいていは内臓の病気とは関連があまりないことがほとんどですので、あまりご心配されずに当院にご相談ください。

参考文献:日本皮膚科学会誌 2024134 巻 12 2993-3000


2024/11/10  日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」が公表

日本皮膚科学会より「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」が発表されました。

皮膚科専門医である私たちにとっては、アトピー性皮膚炎の診療において大いに参考になる(参考にすべき)ものです。

「ガイドライン」というとなにか堅苦しい感じがするかもしれませんが、これは新旧の世界中の文献を検証して、きちんとしたデータを複数のガイドライン委員で検討した上で発表される、疾患の治療においては何よりも信頼性の高いものになります。

もちろん個々の患者さんの治療に際しては、ガイドラインの内容を吟味して、その方にとって最適と思われる治療を、医師の経験も加味して、患者さんのご希望も聞きつつ決定していきます。

これにより、医師個人の独りよがりな治療ではなく、効果も高く安全性の高い治療を選択していくことが可能になるのです。


「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」のポイントはなんでしょうか?

アトピー性皮膚炎の治療は目覚ましい進歩をとげており、新薬がどんどん使えるようになりこれまでの治療ではなかなか改善せず苦しんでおられる患者さんにも、寛解(症状がほとんどなくすごせる)に導くことができるようになっています。

これらの新しい薬剤、ジファミラスト、ネモリズマブ、トラロキヌマブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブもガイドラインに記載されるようになっています。

また、診断治療アルゴリズムも改定されています。

日本皮膚科学会HPよりADGL2024.pdf


 アトピー性皮膚炎の治療においては、患者さんに治療のゴールをご説明しそれを共有することが大切です。

まずはその時にある皮膚の炎症と痒みを速やかに抑える治療が重要であり、そのためにはステロイド外用薬やその他の炎症を抑える作用のある外用薬(商品名プロトピックやコレクチム、モイゼルト)などを用いて治療します。

外用やかゆみ止め(抗ヒスタミン剤)の内服で症状がコントロールされれば、それを維持するべく、塗らなくなるのではなく塗るな内容を変更していきます。

炎症を繰り返す場合には、間隔をあけつつ定期的に炎症を抑える作用のある薬剤を外用することで炎症が再燃するのを防ぐ、「プロアクティブ療法」の有効性が認められています。

適切な外用治療を行ってもなかなか症状が抑えられない場合には、アトピー性皮膚炎であるかどうかを再度検証した上で(特殊な例ですが皮膚リンパ腫などの場合もありえます)、免疫抑制剤であるシクロスポリンの内服、生物学的製剤といわれる注射剤(商品名デュピクセントやミチーガ、アドトラーザ、イブグリース)やJAK阻害薬(商品名リンヴォックなど)の内服などを併用していきます。


アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多くの要因がからんだ疾患であり、アトピー性皮膚炎そのものを確実に完治させることは未だ困難です。

しかしながら、その病態は明らかになっていることも多くなっており、疾患の根幹にアプローチし、しっかりと効果を出す治療法が可能になっています。

当院は日本皮膚科学会により、院長の経験と院内の体制が認められ分子標的薬使用の承認施設を取得しています。

※この承認はアトピー性皮膚炎治療に対してではなく、より高度な知識、経験、管理が必要とされる乾癬治療の分子標的薬使用に関しての承認です


参考文献:日本皮膚科学会誌 2024年 134 巻 9 号 2287-2298


2024/10/21 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:爪の健康について

RCCラジオ「まるっと日常ワイド えんまん」に出演し

10/8 火曜日 「爪の健康」についてお話しました。

その時の内容を元にして、爪の健康について解説させていただきます。


Q/爪が健康かどうか、どんなところから判断しますか?

変形がないか、色が正常かなどで判断します。

 

Q/爪が割れやすいのは、何か原因がありますか? 季節的なことも原因になりますか?

爪の水分量が減少すると爪が割れやすくなります。

爪が湿潤と乾燥を慢性的に繰り返すと、爪の水分を保つ力が低下します。

マニキュアの除光液、有機溶媒、慢性的な刺激などが要因になりやすいとされます。

冬季の乾燥状態では、爪の水分量も低下すると思われます。


Q/二枚爪になってしまうのはなぜ?対処法はありますか?

上記と同じ理由だと考えられます。

保湿をする、爪の保護オイルなどを塗るなどの対処法があります。

 

Q/爪に黒い線が入っている、線が目立つ時、どんな理由からでしょうか?

黒い線は色素線条といって日本人の2~10%にみられる生理現象(病的なものではない)です。

爪母という爪を作る組織にホクロがある場合にも色素線条はみられます。

色ムラのある黒い線は悪性所見のこともあり、受診が必要です。

 

Q/爪の長さ、どのくらいに保つのが適切でしょうか? 特に足の爪は切り忘れがちに…

爪の伸びる速さはどのくらい?

指先とほぼ同じ長さが適当とされます。

手指で1月2~3mm程度, 足趾で1㎜程度です。

角をおとさず、スクエアオフの形で切るようにしましょう。


 

 

Q/爪をきれいに保つ方法はありますか?

爪を強くする方法、習慣や食べ物などはあるのでしょうか?

バランスの良い食事が爪にも大切です。

ネイルや頻繁にふやけるなどは爪を弱くする可能性があります。

 


Q/爪に出てくる症状、何か注意した方がいいことはありますか?

少ないのですが、腫瘍が爪の下、爪床に出ることもあります。

悪性黒色腫は頻度としては多くはありませんが、早期の対応が必要です。

色ムラのある黒色の爪は注意が必要です。

 

Q/ちなみに・・・爪を見たら体の健康状態がわかる、

なんて話を聞いたことがありますが、これは本当ですか?

全身的な病気で爪に異常がでることもあります。

貧血に伴うスプーンネイルや、イエローネイル症候群といわれるリンパ浮腫や胸水を伴う疾患や乾癬、や自己免疫疾患にともなって爪病変が出ることはありますが、頻度は高くありません。


爪の病気は治療法がかなり限られており、かつ治療の結果は正常な爪が生えてくるかどうか(一度生えた爪は変わりません)で判断せざるをえないことが多く、効果判定にも非常に時間がかかります。

そんな中でも、爪水虫などは効果の高い薬剤がありますし、当院では爪切り指導などもさせていただいています。



2024/10/15 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に出演しました:ヘアカラーによるアレルギーについて

RCCラジオ「まるっと日常ワイド えんまん」に出演し

10/1 火曜日 「ヘアカラーによるアレルギー」についてお話しました。

その時の内容を元にして、ヘアカラーアレルギーについて解説させていただきます。


Q/ヘアカラーによるアレルギー症状には、どんなものがありますか?

耳介や頭皮、生え際から顔面に赤身や腫れ、ブツブツ、水ふくれなどが出ます。

Q/軽い・重いは人それぞれかと思いますが、重症だとひどく顔が腫れてしまう、といったこともあるそうですね?

はい。ありえます。

ヘアカラーアレルギーは、重症になるとアナフィラキシーショックのリスクもありえます。

Q/アレルギーの症状は、染めている時など、すぐに出るものですか?

  時間が経ってから症状が出ることもありますか?

すぐに出るものもありますが、アレルギー症状の場合直後より翌日や2,3日後のほうがひどくなることもあります。

顔や目がすぐに腫れるような症状(即時型アレルギー)と、翌日以降に水ぶくれができて汁が出てどんどんひどくなるような症状(遅延型アレルギー)の両方とも出る可能性があります。

Q/アレルギー症状の原因になってしまうのは、どんな成分でしょうか?

パラフェニルジアミンが代表的です。日本では9%の方にアレルギーがあるという報告もあります。

Q/美容院や自宅、どこで染めてもリスクは同じですか?

アレルギーのリスクとしては変わらないと考えられますが、ゴシゴシと洗って頭皮のバリア機能を損ねた後に使用する、肌あればある部位に使用することなどでリスクが上がります。

Q/どういった症状が出たら、受診が必要になりますか?

腫れがひどい、汁がでるなどがあれば受診が必要です。

喉の違和感などあればすぐに受診してください。

Q/アレルギー症状に対して、自分で何か対処できることはありますか?

応急処置として冷やしていただくと少し症状が和らぐと思います。

Q/自分がヘアカラーのアレルギーがあるかどうか、知る方法はありますか?

ヘアカラーをする前には、パッチテストをしましょう。

ヘナであってもアレルギーのリスクはあり、天然由来の成分だから大丈夫ということはないのです。

Q/一度症状が出てしまった方法で染めたり、

ヘアカラー剤を使ったりするのは、やめた方がいいのでしょうか?

もちろんです!

アレルギーは、繰り返す毎に症状がひどくなることが一般的です。

最初は軽い症状であっても、繰り返し使用することでアレルギーを進行させるリスクがあります。


2024/10/15 RCCラジオ《まるっと日常ワイド えんまん。》に今回も2回出演しました。

2024年10月1と8日火曜日に

2024年6月も出演させていただいたRCCラジオ


番組名:まるっと日常ワイドえんまん。


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コーナー:なるほど!えんまん。(月~木の通しで火曜日は健康) 

おもわずなるほど。知的好育心を刺激する、その道のプロフェッショナルや、同世代と一緒に学び考え、知識見聞を広めるコーナー。


火曜日のテーマは健康

身の回りで気になる健康についてのトピックスを専門家に聞くコーナーです。

前回の放送が好評だったようで、再度皮膚の専門家として出演させていただきました。

10/1 火曜日 「ヘアカラーによるアレルギー」

10/8 火曜日 「爪の健康」

について、10分あまりお話しました。

内容についてはまた後日アップします。


2024/9/19 中国新聞に院長の取材記事が掲載されました

2024年9月5日木曜日の中国新聞くらし欄(19面)に院長の取材記事が掲載されました。

厳しい暑さ、目立つ肌トラブル スキンケアはこすらず「置く」

というタイトルで、院長がいつも指導させて頂いている、「こすらないスキンケア」について紙面の半分以上を使って掲載してくださっています。




この内容は、中国新聞のインスタグラムでも分かり易くまとめて掲載されています。

https://www.instagram.com/chugokunp_u35/?hl=ja










2024/7/30 アトピー性皮膚炎の注射薬について

アトピー性皮膚炎は、痒みや湿疹を伴い長く続くとても辛い病気です。

元々の体質に様々な環境因子やアレルギーが加わって発症しますが、重症になると患者さんの生活は大きく阻害されます。

10年ほど前までは重症のアトピー性皮膚炎をコントロールするのは至難の業でした。

しかしながら近年、さまざまな薬剤が開発され重症のアトピー性皮膚炎でも、皮疹がほぼない状態にまでコントロールすることもできるようになりました。

そのような薬剤は生物学的製剤といわれ、アトピー性皮膚炎の病態に関わる部分をピンポイントで抑えることにより、副作用が少なくかつ効果的な治療が可能になっています。

アトピー性皮膚炎の生物学的製剤には現在4剤があり、どれも注射剤で、特定のサイトカインといわれる細胞から産生され他の細胞へと作用する物質を抑えるものです。


①デュピルマブ(商品名デュピクセント)

インターロイキン(IL)4受容体に対する抗体製剤で、IL-4とIL-13がくっつく受容体に薬剤がくっつくことでこの2つの作用を抑えます。

これにより皮膚の炎症、かゆみ、バリア機能障害を改善させます。

2週間に1回投与します。自己注射が可能と判断された方は、3回目の投与からは自己注射も可能です。


②トラロキヌマブ(商品名アドトラーザ)

IL-13抗体製剤で、IL-13 に直接薬剤がくっつくことによりIL-13 の作用を抑えます。

アトピー性皮膚炎にはILー13が皮膚のバリア機能低下や炎症、痒みに深く関わっていることが知られており、受容体抗体よりダイレクトにサイトカインの作用を抑えることが期待されます。

2週間に1回投与します。自己注射が可能と判断された方は、3回目の投与からは自己注射も可能です。


③イブグリース(レブリキズマブ)

IL-13抗体製剤で、IL-13 に直接薬剤がくっつくことによりIL-13 の作用を抑えます。

トラロキヌマブ(商品名アドトラーザ)と同様の作用機序のお薬ですが、皮膚の状態が良ければ3回目の投与から4週間間隔での投与が可能なのが大きな特徴です。


いずれも副作用として、重篤な過敏症(アナフィラキシー)のリスクが0.2%程度と頻度は低いもののあることと、結膜炎や好酸球増多症、注射部位反応などがおこりえます。


いずれのお薬も半年以上の標準治療をしているか、治療の副作用で継続できない、重症度や範囲を満たす(軽症の方は投与できません)などの投与にあたって満たすべき要件があり、すべての方に投与できるわけではありません。


当院では広島のクリニックでは第1例目にアトピー性皮膚炎の生物学的製剤を投与させていただき、その後も実績を積んでいます。

院長は生物学的製剤の医療関係者への講演も複数行っております。

アトピー性皮膚炎でお困りの方は治療経験豊富な当院にご相談ください。


参考文献:アトピー性皮膚炎における生物学的製剤の使用ガイダンス 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎・蕁麻疹治療安全性検討委員会 

日本皮膚科学会誌 133:1817-1827,2023 


2024/7/6 ステロイドの副作用について

「ステロイド?塗りたくないです。」

とおっしゃる方が、たまにおられます。

その度に

「まだそういう方がおられるのだな~」

と残念な気持ちになります。

私が医師になったころ(20年以上前です)、“脱ステロイド”がさかんに言われて、

学会でも議論されていたことがありました。

その頃、皮膚科はまだまだ学問としては今ほど整っておらず、エビデンスもないような話が横行しておりました。

「リバウンドがくる」「一度塗るとやめられなくなる」「悪魔の薬」

などととても医学的ではない言葉が飛び交っていたのを思い出します。

あれから皮膚科の治療は本当に変化しています。

アトピー性皮膚炎にはデュピクセントを始め、他の生物学的製剤も多数使用できるようになり、

重症の方でもアトピーがなかったようなコントロールにもっていくこともできるようになりました。

続々と新薬もでており、患者さんの負担をへらすことが可能になっています。

そんな昨今でも、皮膚科の治療のメインはステロイド外用剤です。

皮膚炎にはまずファーストチョイスで、その強さや剤型、外用する期間などの設定は皮膚科医の腕の見せどころです。

一方、ステロイドの飲み薬の副作用は全身的なものがあり、安価で効果の高いお薬ですが、その長期使用は限られた病気にのみ、

副作用に注意しながら投与されています。

以下に「ステロイド」の内服、外用の主な副作用をお示しします。


外用剤は、まず血管拡張や皮膚の萎縮などが出ることが多く、皮膚科医は患者さんの皮膚をモニタリングしながら症状も鑑みて処方をしています。

「なんかコワいから」「ネットに使うなと書いてあったから」などと、あいまいな情報で判断することのないようにしましょう。

ご自身を診察、診断している目の前の医師の判断以上に頼りになる情報はありません。

さまざまな情報が溢れる今、玉石混合のネット情報やいい加減な情報から、ご自身を守ることが大切だと考えます。


2024/6/22 日刊ゲンダイヘルスケアにインタビュー記事が掲載されています!

全国的に配信され、yahooニュースにも取り上げられるメジャーな媒体「日刊ゲンダイヘルスケア」に院長のインタビュー記事が4回シリーズで掲載されています。

日本人の6割が保有…しつこい口唇ヘルペスは新たな「PIT療法」で撃退できる|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)

以前も載せていただいた熱傷の記事が好評だったようで、再びご依頼をいただきました。

くり返す口唇ヘルペス、性器ヘルペスでお悩みの方は是非ご相談ください。


2024/6/14 多汗症について

日中は30度を超えるようになり、汗ばむ毎日です。

ヒトの汗腺にはほぼ全身に分布するエクリン汗腺と比較的特定部位に存在するアポクリン汗腺があります。

多汗を引き起こすのは前者のエクリン汗腺です。温熱刺激によって汗が出て、体温調節に関係しており、交感神経やアセチルコリンという物質に支配されています。

汗をかくのは体温調節に必須で、重要な機能ではありますがワキ汗によりシャツにシミが出来たり、汗がダラダラ流れたりするのは嫌なものです。

手汗は季節に関係なくみられますが、酷い方になるとスマホが故障したりすることもあるようです。

このような多汗症のお薬は今どんなものがあるのでしょうか。

全身の多汗にはあまり良いお薬はなく、抗コリン剤という交感神経の伝達をブロックする飲み薬が保険診療で処方可能です。

しかしながら、このお薬は緑内障(閉塞隅角というタイプの方)や前立腺肥大のある方などには処方できませんし、口渇や目の調節障害(視界がぼやける、光をまぶしく感じる)もおこる可能性があるお薬になり、常用するのは難しいことが多いので、どうしても汗を止めたい時のみに飲んで頂くようにしています。

一方、脇と手のひらには抗コリン剤の塗り薬が保険適応になっています。

脇汗には2種類、手汗には1種類の塗り薬が処方できますが、いずれも作用機序としては交感神経からエクリン汗腺(汗を主にだす汗腺)への指令伝達をブロックするお薬です。


科研製薬株式会社HPより


ワキ汗には、エクロック(ゲルタイプで塗るもの)、ラピフォートワイプ(不織布にお薬がしませてあるもの、拭くタイプ)の2種類がお好みに応じて処方できます。

手のひらは就寝前に塗るタイプの1種類です。

ワキ汗は塗り薬で効果不十分でしたら、ボトックス注射も保険で受けていただけます(効果持続は3,4カ月)。


考文献:あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店


2024/6/5 日光アレルギーについて

日差しが強くなり、海やアウトドア活動でひどい日焼けをされて受診される方がちらほら出てこられました。

「日焼け」は皆さんイメージがしやすいかと思いますが、「日光アレルギー」はご存じでしょうか?

「日光アレルギー」とは、日光を浴びることにより、日焼けとはことなる発疹(湿疹やじんましんなど)が出る状態です。

「日焼け」が個人差はあるものの、ある一定量以上の日差しを浴びると誰にでも生じるのに対して、「日光アレルギー」は日光に対して過敏になっている方に発症し、少しの日差しでも発症するリスクがあります。

内因性(遺伝的なものや他の病気が関与)と外因性(薬や化粧品などの使用がきっかけとなる)に大きく分けられますが、原因不明のものも多く存在します。

薬の使用で代表的なものは湿布です。

湿布の中には光接触皮膚炎といって、湿布の薬剤と日光(主に紫外線)が合わさることによってかぶれを起こす場合があり、症状もひどい水疱ができ長引くことがあります。湿布による光接触皮膚炎は湿布を貼らなくなった後も2ヶ月程度の遮光を要するなど、その後のケアも大変であり、湿布は注意書きに従って、適切な場所に使用しましょう。

また日光にあたるとじんましん(赤くはれて数時間で消えてしまうことが多いです)が出る方もおられます。

日光によることが明らかな場合は、日光を避けることが重要で、日焼け止めのみでなく帽子やサングラス、衣服などでの遮光が大切です。

「日光アレルギー」の診断は、症状や病歴、薬の使用歴などを総合的に考慮して行います。

その症状も多彩で原因となる光線もさまざまで、診断が困難なものも少なくありません。

日光を浴びた部位に痒みのある湿疹やじんましんが出る場合には、医療機関を受診して相談されてください。

考文献:あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店、戸倉新樹 アレルギー55:1382-1389,2006 


2024/5/21 毛虫皮膚炎について

そろそろ毛虫皮膚炎の時期になってきました。

「毛虫皮膚炎」?あまりなじみのない方もおられるかと思いますが、“毛虫”のうち全体の2%が毒性をもつと言われています。

主にドクガ・チャドクガなどの幼虫(毛虫)の毒針毛が皮膚に刺さることで生じるのが毛虫皮膚炎です。

チャドクガは、ツバキや山茶花などに毛虫が潜んでいることが多いとされます。

毒針毛は直接触れることで刺されるだけでなく、空気中に散布されることもあり、屋外作業中に気づかないうちに刺さってしまい発症することも少なくありません。

刺されてすぐに蕁麻疹のように痒くなり(即時型反応)、掻きむしることでどんどん広がる場合もあれば、毒針毛に触れた1~2日後に症状が出る(遅延型反応)場合もあります。

診断は、この時期に分布に偏りがある赤い丘疹(ブツブツ)が、急に沢山出てきて痒みが強い、庭の手入れや山にいったなどの病歴から行いますが、毛虫との接触を自覚されていない場合も多々あります。

治療はステロイドの塗り薬と抗ヒスタミン剤(かゆみ止め)などで行いますが、1週間以上長引くことも多いのが特徴です。

考文献:虫と皮膚炎改定第2版 夏秋優著 秀潤社、 あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店


2024/5/4 繰り返す口唇や性器ヘルペスの治療について


口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルスは、
2つの型(1型と2型)があり、
 
1型は世界中で37億人(世界人口の67%)
2型は4.9億人(世界人口の13%)
が感染していると言われています。
(2022年WHO)
 
 国内での調査でも2002年のデータにはなりますが
1型は60%程度
2型は10%程度
 が感染しているという結果が出ています。
 
 単純ヘルペスウイルスは感染後体内に潜伏しますが、初感染では症状がないことがほとんとです。
残念ながら一度感染した単純ヘルペスウイルスは体内から出ていくことはなく、一生涯潜伏しています。
そして時に症状を引き起こします。
 
疲労やストレス、日光暴露など免疫が落ちた時に、ピリピリとした初発症状を伴って潜伏している神経節が支配している皮膚領域に赤みや水疱を引き起こします。

再発性口唇ヘルぺス患者さんは、66%もの方が日常生活の広い範囲で制約を受けており (2022年インターネット調査)、とても苦痛を伴う疾患です。


単純ヘルペスウイルスには増殖を抑制する抗ウイルス薬があり、ウイルスが増殖する前に、いかに早く内服するかがとても重要です。

また、再発を繰り返す方は、皮疹が出る前にピリピリやむずむずといった初発症状で単純ヘルペスの再発が分かられる方が多いのです。

この初発症状の時期への治療が保険診療でできるようになっています。

ヘルペスが出ていなくても、処方が可能で、
普段から患者さんに携帯いただき、ヘルペスが出そうになったらご自身の判断で内服して頂ける治療


 
Patient intiated therapy(PIT)



 といいます。
 
 
 
2回飲むお薬と
1回の内服ですむお薬も保険適応があります。
 


再発する口唇ヘルペスのお薬は、症状がなくても処方できます!
 
繰り返すヘルペスでお悩みの方は
是非ご相談くださいニコニコ

2024/3/29 日刊ゲンダイヘルスケアにインタビュー記事が掲載されています!

全国的に配信され、yahooニュースにも取り上げられるメジャーな媒体「日刊ゲンダイヘルスケア」に院長のインタビュー記事が4回シリーズで掲載されています。

やけどの正しい治し方(1)「ラップ療法」で本当にしっかり治せるのか?|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)

やけどの正しい治し方(2)ラップ療法は「湿潤療法」のひとつだがデメリットも|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)

やけどの正しい治し方(3)応急処置は清潔な流水で20分冷やす|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)

やけどの正しい治し方(4)残った傷痕をいかに改善できるか|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)

これは「日刊ゲンダイヘルスケア」の記者さんからクリニックに電話で取材依頼があり、オンラインインタビューでお応えした内容です。

院長に依頼があったいきさつは、アメブロに記載させて頂いていますが、

日刊ゲンダイヘルスケアの取材を受けました! | 広島 八丁堀の身原皮ふ科 形成外科クリニック院長・身原京美のブログ (ameblo.jp)

前職の長崎病院時代に書いた傷に関してのコラムに感銘をうけられたとのこと。

記者さんがやけどをされた時、ラップ療法をして綺麗に治ったとことで、他の方にも勧めておられたそうです。

 

そんな経験もあり、湿潤療法について調べていたところにコラムにたどり着かれお読みいただいたようです。


このように分かりやすく、フェアな文章はネット上になかなかありませんので

読んだ瞬間に、ぜひ身原先生にお話をお伺いできれば、と思いました。

ラップ療法は、医学的にはおすすめできる治療法ではありません。

その理由ややけどの基礎知識、応急処置について、またやけどのあとについてもお話しております。

ぜひご覧ください。


2024/3/8 低温熱傷について

春らしくぽかぽかすると思ったら、急に冷え込みが強くなり、時には雪まで舞うこの気候のせいか、低温熱傷の患者さんがチラホラご来院されます。

低温熱傷とは、あまり熱いと感じない程度の温度でじっくりと時間をかけておこるやけどのことです。

(例えば44℃であれば6~10時間でやけどになると言われています)

液体や固体による普通のやけどは、「熱い」と感じればそれを避ける行動をしますし、液体であれば流れるので、火事などの特殊な場合を除いて熱との接触時間は短いことが多いのですが、低温熱傷の場合は少し熱いくらいの温度で、しかも睡眠中や飲酒後の知覚が落ちているときに生じるので、接触時間が長くなり結果としてやけどの深さが深くなりがちです。

低温熱傷の原因としては、睡眠中に使用した湯たんぽや、飲酒後に電気ヒーターの前でうたたねをしたなどが多くみられます。

低温熱傷の特徴は、やけどの面積自体は大きくないので生命にかかわることはほとんどありませんが、その深さが深く、治るまでに1月以上かかることも良くあります。ごく小さい面積の場合、塗り薬などで治ることもあるのですが、壊死がある程度の範囲で見られるときには外科的な治療を必要とします。壊死を取り除くデブリードマンや、植皮など行うことも珍しくないのです。

当然傷痕も残りますし、治るまでの過程で感染を伴い赤くはれて痛みをともなうリスクも高くなります。

湯たんぽの使用はなるべく避け、どうしても使う場合でも寝床を温めるのみとし、布団に入った後は布団から出すようにしましょう。

ヒーターに同じ姿勢で当たり続けることはとても危険です。

まだまだ冷え込む日が続きそうです。お気をつけくださいね。


2024/2/27 水虫について

最近水虫?の方のご来院が増えてきています。

足に痒みがあると、「水虫では?」と心配になりますよね。

実際に“水虫“と言ってこられる方の中には、水虫(足白癬)ではない方も結構な数おられます。

水虫の診断には、顕微鏡での検査で白癬菌を検出する必要がありますが、市販の水虫薬などを塗っておられる場合には、表面の検査できる部分の白癬菌がおらず、検査をしても陰性になることが多々あります。水虫薬を塗っておられる場合、塗るのを中止して2週間くらいあけてからの検査でないと、信頼度がおちることが知られています。

水虫菌(白癬菌)は健康な皮膚には存在しない菌ですので、顕微鏡で検出するだけで病的なものだと診断ができます。

足に痒みがあるだけで水虫を心配される方も多いのですが、ムレなどでも痒みは起こることもあり、診察して白癬菌を検出することが診断には重要になります。水虫でない方に水虫のお薬を処方しても、症状は改善しません。時々クリニックでも漫然と水虫薬を塗っておられてもかゆみや皮むけが良くならないといって来院される方をみかけます。

水虫菌(白癬菌)には耐性菌は今のところ見つかっておらず、きちんと塗られていても良くならない場合は水虫でない可能性も考える必要があります。

水虫であれば、目に見えて発疹がある範囲より十分に広く塗る必要があります。足全体、足趾の間や足の甲まで、両側に十分な期間(最低でも2ヶ月間)塗って頂く必要があるのです。

参考文献:日皮会誌:132(9), 2125-2131, 2022


2024/2/20 花粉と皮ふ

気温が高くなり、花粉症の方には辛い季節になってきました。

花粉は皮膚にも影響することはご存じでしょうか?

「花粉皮膚炎」と呼ばれるもので、花粉が皮膚に付着することにより、主にマスクので覆われていない

目の周りや鼻などに、赤みやかゆみ、腫れやかさつきなどが出ます。

これは花粉症のない方にも発症することが分かっており、特にスギ花粉で症状が出る方が多いようです。

この花粉皮膚炎の発症には、皮膚のバリア機能もかかわっていることが知られています。

バリア機能が下がっていると、外部からの刺激に弱くなり、軽い刺激でも痒みが出て、掻きむしることでさらに皮膚炎が悪化します。

アトピー性の方や乾燥肌の方、花粉症の方などもともとバリア機能障害がある方やアレルギーをもっておられる方に発症しやすいのです。

花粉にさらされるこの季節、しっかりとこすらないスキンケアをして保湿し、皮膚のバリア機能を整えておきましょう。

そして外出から帰ったら、露出していた部分の皮膚を水やぬるま湯で優しく洗浄し、保湿しておくことも大切です。

参考文献Molecular aspects of allergens in atopic dermatitis. Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2017 Aug; 17(4): 269–277


2024/2/17 肝斑の診断・治療の難しさ

このシミ、肝斑でしょうか?

と言ってご来院する方があとを絶ちません。


肝斑は治療もそうですが、診断の難しさがあるシミです。

典型的な肝斑は

両側のほほ、特にほお骨の上や額、唇などにべたっとした茶褐色のシミがときには網目状に見えることもあります。

眼窩内にはみられないのも特徴です。時に額にも見られる場合もあります。


このような典型的な肝斑の診断はさほど難しくないのですが、問題は典型的な方はむしろ少数であること。

左右非対称であったり、頬や額以外にも出現することもあります。

また肝斑のみでなく、老人性色素斑やソバカスなど他のシミが混ざっていることもしばしばです。

肝斑はスキンケアやメイクに要因があることも多いとされ、クリニックではスキンケア問診にて、普段のスキンケアをお伺いしております。

またレビューⅡという、見えないシミも可視化する機器も用いて、診断・カウンセリングしております。


肝斑の治療には、レーザー(トーニング除く)やフォトフェイシャルは肝斑を悪化させる可能性があるとされており、クリニックではまずピーリングやエレクトロポレーション、レーザートーニング、塗り薬や飲み薬で自費で治療させて頂いております。

そして“こすらないスキンケア”も絶対的に必要なこととして、丁寧に医師、看護師より指導させて頂いており、治療中でもお肌の状態に合わせて、随時見直しのお声がけもさせて頂いているのです。


2024/2/4 キズの手当

日常的におこるケガ、転んですりむいたり、頭をぶつけたり、様々なケガのご来院が後をたちません。

ケガはいきなり起こるもの、どのような手当をするのが良いのでしょうか?

まずキズの深さの見極めが大切!

出血が止まらない、明らかに凹んでいるなどは医療機関への受診が必要です。

すりむいた程度のキズでは、まず水道水での洗浄をしていただき、表面に汚れがないか、皮膚の凹みやヨレがないかを観察しましょう。

キズの上になにか異物がある、凹みがある、皮膚がずれているなどがあれば受診が必要です。

出血もなく、皮膚に凹みもなく、表面に異物も内容でしたら、洗浄後にまずキズパワーパッドなどで覆います。

キズパワーパッドから汁があふれることもなく、しっかりくっついているようであれば、2,3日毎の貼り替えを洗浄後にしてください。

貼ったものを剥がす時も、乱暴に剥がしてしまうとできかけた皮膚を痛めてしまいます。

ゆっくりと丁寧にはがして、キズが治ってきているか観察しましょう。

汁が溢れて貼ったものがはがれやすい、キズの周囲が赤くなって腫れてズキズキする、キズが白っぽくなっている、1週間くらいしてもキズが治ってこない、などあれば早めの受診をオススメします。

キズの深さの見極めは難しいものです。

不安な時はお気軽にご相談くださいね。

参考文献:日本皮膚科学会 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン2023-1創傷全般


2024/2/1しもやけにご用心

寒暖差が多い毎日で、体調を崩しがちですね。

最近増えているのが、「しもやけ」の患者さんです。

この冬は暖かかったせいか、これまであまりご来院がありませんでしたが、年明けから少しずつご来院が増えています。

「しもやけ」は皮膚科的には「凍瘡(とうそう)」といい、寒冷による皮膚の血行障害によるものです。

くり返し寒冷刺激を受けることにより、うっ血を起こし炎症がおこります。腫れや赤み、痛痒さなどを生じ、酷いときにはキズが出来ることもあります。

治療にも予防にも保温が一番!外で活動される方はブーツを履く、靴下を保温効果の高いものにする、足用のカイロを使用する(ただし、やけどに注意!)など足が冷えないようにしてください。

室内でも厚い靴下や室内履きなどでの保温、暖房器具で足元を温めるなど環境を整えるようにしましょう。

汗をかいたままで放置していると、気化する際に熱が奪われこれも皮膚を冷やす要因になります。特に手足は濡れた状態で放置しないようにするも大切です。

クリニックでの治療は、ビタミンEの飲み薬、塗り薬や生姜の漢方薬などを処方させて頂いております。

参考文献:あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店


2024/1/17 アトピー性皮膚炎の注射薬、デュピクセントが小児に使えるようになりました。

難治性のアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセント(注射剤)、発売から5年以上たち世界中で沢山のアトピー性皮膚炎で苦しむ患者さんの人生を変えてきました。実際に投与された患者さんを拝見するとその効果はあきらかで、“Life change drug(人生を変える薬)”と言われた由縁を実感したものです。

このデュピクセント、効果も大きいのですが、もう一つ大きなメリットがあります。

それはいまだに重篤な副作用の報告がかなり少ないということです。当院でも沢山の患者さんに投与させていただいておりますが、副作用のために中止された患者さんはいまだおられません(結膜炎などが一時的に出たり、注射部位反応は一定数の方におこります)。世界中で膨大な数の方が使用されているにもかかわらず、大きな副作用報告がごく少ないというのは驚くべきことです。

このデュピクセント、従来成人にのみ適応がありましたが、昨年9月に小児にへの適応が追加されました。

これにより、生後6か月以上のお子さんからデュピクセントを使用して頂くことができるようになりました(投与には重症度などの要件を満たす必要があります)。

当院でも小児患者さんに投与を始めており、これまで掻きむしりが強くなかなか塗り薬や抗ヒスタミン剤の飲み薬ではコントロールが良くなかった患者さんが良くなられて、喜ばれております。


2024/1/7 今年もよろしくお願いします。

皆さま佳き新年をお迎えになられましたか?

地震や飛行機事故など、今年は大変な年明けでした。

まだまだ大変な思いをされておられる方いらっしゃることに、心を痛めております。

身原皮ふ科・形成外科クリニックは1月5日より診療を開始しております。

新年も沢山の患者さんにご来院頂き、この場をお借りしてお礼申し上げます。

待ち時間が多い中、ご来院くださった患者さんには大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。

ご来院くださる患者さん、皆さまのお悩みを皮膚科専門医、形成外科専門医の立場から解決し、診療の質を落とすことなく待ち時間をなるべく少なくするべく、スタッフ一同努力しております。皆さまの貴重なお時間を頂戴していることをいつも心において診療しております。


今年は当クリニック開業5年目に入ります。

これからも皆さまのお役に立つよう、皮膚科、形成外科、美容皮膚科診療に邁進して参ります。

当院は皮膚科専門医、形成外科専門医が在籍し、かつ家族で診療しているクリニックであるのが最大の特徴です。

この特徴を活かして、医学的根拠に基づいた治療をいち早く患者さんにお届けし、かつ美容診療においても美容しかみられない医療機関ではなく、皮膚科、形成外科の医学的知識、経験を30年近く有する院長と身原弘哉医師が皆さまにエビデンスに基づいた、効果的で安全かつ誠実な診療をお届けして参ります。


今年も身原皮ふ科・形成外科クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。


2023/12/22 皮膚科で処方する医療用保湿剤

保湿剤には大きく分けて2種類あります。


モイスチャライザー

水分を沢山含み直接的に角層の水分を増加させます。

クリームやローション、スプレーなど剤型が豊富で使いやすいです。

 

例)ヘパリン類似物質(ヒルドイド)や尿素(ウレパール)

 

エモリエント

皮膚を覆うことにより水分蒸散を抑え間接的に角層の水分を増加させまず

油脂膜を形成することで水分蒸発を防ぐことから、ベタベタします。

例)ワセリンなど。

 

 それぞれの良い点、欠点があるのですが、乾燥や皮膚炎がひどいときにはどれを塗っても刺激になることがあります。


まずはお薬を塗っていただくことが大切!


患者さんと相談して、どのようなお薬をお出しするか日々考えて処方しています。



 



2023/12/16 乾燥肌には”落としすぎない入浴法”がカギ!

これからの季節に悪くなる乾燥肌

生活での注意点


石鹸やボディーソープなど、汚れを落とすものには界面活性剤が含まれます。


この界面活性剤の働きにより汚れは洗浄剤を触れるだけで浮き上がるので、

ゴシゴシとこする必要はありません。


ナイロンタオルでなくてもタオルなどでこする必要はありません。


洗浄剤をよく泡立てて手のひらで優しく伸ばして洗うことが大切です!


すねなどの特に乾燥が強い部分には

洗浄剤の使用を最小限にとどめることも重要です

  • 体を強く洗いすぎないようにする
  • 熱すぎるお湯は避ける
  • 長時間の入浴を避ける
  • 石けんはきちんと洗い流す

気をつけましょうニコニコ

<参考文献>

公益社団法人日本皮膚科学会 皮脂欠乏症診療の手引き作成委員会. 日皮会誌:131(10), 2255-2270, 2021


2023/12/11 乾燥肌とは

乾燥肌には大きく分けて3つの要因があります。


① 生理的要因 :年齢等によって自然に起こる変化


② 環境要因 :外気やエアコンによる低湿度(特に冬ですね)

お風呂の入りすぎや皮脂をしっかり落とす石鹸やこすりあらいなど


③ 非生理的要因:皮膚や全身の病気や抗がん剤や放射線などの医療によるもの



皮膚の一番外側にある角層はわずか0.2m程度と薄いものの、バリア機能があり

さまざまな物質(ばい菌やアレルゲン)から身体を守り、水分を保つ働きがあります。




<参考文献>

公益社団法人日本皮膚科学会 皮脂欠乏症診療の手引き作成委員会. 日皮会誌:131(10), 2255-2270, 2021


院長ブログ
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クリニック案内

医院名
身原皮ふ科・形成外科クリニック
院長
身原 京美
住所
〒730-0013
広島県広島市中区八丁堀14-7
八丁堀宮田ビル7F
診療科目
皮膚科・形成外科
電話番号
082-512-4112