皮膚科・形成外科
医療法人 近和会
身原皮ふ科・形成外科クリニック
〒730-0013
広島市中区八丁堀14-7八丁堀宮田ビル7F
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全国的に配信され、yahooニュースにも取り上げられるメジャーな媒体「日刊ゲンダイヘルスケア」に院長のインタビュー記事が4回シリーズで掲載されています。
やけどの正しい治し方(1)「ラップ療法」で本当にしっかり治せるのか?|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)
やけどの正しい治し方(2)ラップ療法は「湿潤療法」のひとつだがデメリットも|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)
やけどの正しい治し方(3)応急処置は清潔な流水で20分冷やす|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)
やけどの正しい治し方(4)残った傷痕をいかに改善できるか|日刊ゲンダイヘルスケア (nikkan-gendai.com)
これは「日刊ゲンダイヘルスケア」の記者さんからクリニックに電話で取材依頼があり、オンラインインタビューでお応えした内容です。
院長に依頼があったいきさつは、アメブロに記載させて頂いていますが、
日刊ゲンダイヘルスケアの取材を受けました! | 広島 八丁堀の身原皮ふ科 形成外科クリニック院長・身原京美のブログ (ameblo.jp)
前職の長崎病院時代に書いた傷に関してのコラムに感銘をうけられたとのこと。
記者さんがやけどをされた時、ラップ療法をして綺麗に治ったとことで、他の方にも勧めておられたそうです。
そんな経験もあり、湿潤療法について調べていたところにコラムにたどり着かれお読みいただいたようです。
このように分かりやすく、フェアな文章はネット上になかなかありませんので
読んだ瞬間に、ぜひ身原先生にお話をお伺いできれば、と思いました。
ラップ療法は、医学的にはおすすめできる治療法ではありません。
その理由ややけどの基礎知識、応急処置について、またやけどのあとについてもお話しております。
ぜひご覧ください。
春らしくぽかぽかすると思ったら、急に冷え込みが強くなり、時には雪まで舞うこの気候のせいか、低温熱傷の患者さんがチラホラご来院されます。
低温熱傷とは、あまり熱いと感じない程度の温度でじっくりと時間をかけておこるやけどのことです。
(例えば44℃であれば6~10時間でやけどになると言われています)
液体や固体による普通のやけどは、「熱い」と感じればそれを避ける行動をしますし、液体であれば流れるので、火事などの特殊な場合を除いて熱との接触時間は短いことが多いのですが、低温熱傷の場合は少し熱いくらいの温度で、しかも睡眠中や飲酒後の知覚が落ちているときに生じるので、接触時間が長くなり結果としてやけどの深さが深くなりがちです。
低温熱傷の原因としては、睡眠中に使用した湯たんぽや、飲酒後に電気ヒーターの前でうたたねをしたなどが多くみられます。
低温熱傷の特徴は、やけどの面積自体は大きくないので生命にかかわることはほとんどありませんが、その深さが深く、治るまでに1月以上かかることも良くあります。ごく小さい面積の場合、塗り薬などで治ることもあるのですが、壊死がある程度の範囲で見られるときには外科的な治療を必要とします。壊死を取り除くデブリードマンや、植皮など行うことも珍しくないのです。
当然傷痕も残りますし、治るまでの過程で感染を伴い赤くはれて痛みをともなうリスクも高くなります。
湯たんぽの使用はなるべく避け、どうしても使う場合でも寝床を温めるのみとし、布団に入った後は布団から出すようにしましょう。
ヒーターに同じ姿勢で当たり続けることはとても危険です。
まだまだ冷え込む日が続きそうです。お気をつけくださいね。
最近水虫?の方のご来院が増えてきています。
足に痒みがあると、「水虫では?」と心配になりますよね。
実際に“水虫“と言ってこられる方の中には、水虫(足白癬)ではない方も結構な数おられます。
水虫の診断には、顕微鏡での検査で白癬菌を検出する必要がありますが、市販の水虫薬などを塗っておられる場合には、表面の検査できる部分の白癬菌がおらず、検査をしても陰性になることが多々あります。水虫薬を塗っておられる場合、塗るのを中止して2週間くらいあけてからの検査でないと、信頼度がおちることが知られています。
水虫菌(白癬菌)は健康な皮膚には存在しない菌ですので、顕微鏡で検出するだけで病的なものだと診断ができます。
足に痒みがあるだけで水虫を心配される方も多いのですが、ムレなどでも痒みは起こることもあり、診察して白癬菌を検出することが診断には重要になります。水虫でない方に水虫のお薬を処方しても、症状は改善しません。時々クリニックでも漫然と水虫薬を塗っておられてもかゆみや皮むけが良くならないといって来院される方をみかけます。
水虫菌(白癬菌)には耐性菌は今のところ見つかっておらず、きちんと塗られていても良くならない場合は水虫でない可能性も考える必要があります。
水虫であれば、目に見えて発疹がある範囲より十分に広く塗る必要があります。足全体、足趾の間や足の甲まで、両側に十分な期間(最低でも2ヶ月間)塗って頂く必要があるのです。
参考文献:日皮会誌:132(9), 2125-2131, 2022
気温が高くなり、花粉症の方には辛い季節になってきました。
花粉は皮膚にも影響することはご存じでしょうか?
「花粉皮膚炎」と呼ばれるもので、花粉が皮膚に付着することにより、主にマスクので覆われていない
目の周りや鼻などに、赤みやかゆみ、腫れやかさつきなどが出ます。
これは花粉症のない方にも発症することが分かっており、特にスギ花粉で症状が出る方が多いようです。
この花粉皮膚炎の発症には、皮膚のバリア機能もかかわっていることが知られています。
バリア機能が下がっていると、外部からの刺激に弱くなり、軽い刺激でも痒みが出て、掻きむしることでさらに皮膚炎が悪化します。
アトピー性の方や乾燥肌の方、花粉症の方などもともとバリア機能障害がある方やアレルギーをもっておられる方に発症しやすいのです。
花粉にさらされるこの季節、しっかりとこすらないスキンケアをして保湿し、皮膚のバリア機能を整えておきましょう。
そして外出から帰ったら、露出していた部分の皮膚を水やぬるま湯で優しく洗浄し、保湿しておくことも大切です。
このシミ、肝斑でしょうか?
と言ってご来院する方があとを絶ちません。
肝斑は治療もそうですが、診断の難しさがあるシミです。
典型的な肝斑は
両側のほほ、特にほお骨の上や額、唇などにべたっとした茶褐色のシミがときには網目状に見えることもあります。
眼窩内にはみられないのも特徴です。時に額にも見られる場合もあります。
このような典型的な肝斑の診断はさほど難しくないのですが、問題は典型的な方はむしろ少数であること。
左右非対称であったり、頬や額以外にも出現することもあります。
また肝斑のみでなく、老人性色素斑やソバカスなど他のシミが混ざっていることもしばしばです。
肝斑はスキンケアやメイクに要因があることも多いとされ、クリニックではスキンケア問診にて、普段のスキンケアをお伺いしております。
またレビューⅡという、見えないシミも可視化する機器も用いて、診断・カウンセリングしております。
肝斑の治療には、レーザー(トーニング除く)やフォトフェイシャルは肝斑を悪化させる可能性があるとされており、クリニックではまずピーリングやエレクトロポレーション、レーザートーニング、塗り薬や飲み薬で自費で治療させて頂いております。
そして“こすらないスキンケア”も絶対的に必要なこととして、丁寧に医師、看護師より指導させて頂いており、治療中でもお肌の状態に合わせて、随時見直しのお声がけもさせて頂いているのです。
日常的におこるケガ、転んですりむいたり、頭をぶつけたり、様々なケガのご来院が後をたちません。
ケガはいきなり起こるもの、どのような手当をするのが良いのでしょうか?
まずキズの深さの見極めが大切!
出血が止まらない、明らかに凹んでいるなどは医療機関への受診が必要です。
すりむいた程度のキズでは、まず水道水での洗浄をしていただき、表面に汚れがないか、皮膚の凹みやヨレがないかを観察しましょう。
キズの上になにか異物がある、凹みがある、皮膚がずれているなどがあれば受診が必要です。
出血もなく、皮膚に凹みもなく、表面に異物も内容でしたら、洗浄後にまずキズパワーパッドなどで覆います。
キズパワーパッドから汁があふれることもなく、しっかりくっついているようであれば、2,3日毎の貼り替えを洗浄後にしてください。
貼ったものを剥がす時も、乱暴に剥がしてしまうとできかけた皮膚を痛めてしまいます。
ゆっくりと丁寧にはがして、キズが治ってきているか観察しましょう。
汁が溢れて貼ったものがはがれやすい、キズの周囲が赤くなって腫れてズキズキする、キズが白っぽくなっている、1週間くらいしてもキズが治ってこない、などあれば早めの受診をオススメします。
キズの深さの見極めは難しいものです。
不安な時はお気軽にご相談くださいね。
参考文献:日本皮膚科学会 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン2023-1創傷全般
寒暖差が多い毎日で、体調を崩しがちですね。
最近増えているのが、「しもやけ」の患者さんです。
この冬は暖かかったせいか、これまであまりご来院がありませんでしたが、年明けから少しずつご来院が増えています。
「しもやけ」は皮膚科的には「凍瘡(とうそう)」といい、寒冷による皮膚の血行障害によるものです。
くり返し寒冷刺激を受けることにより、うっ血を起こし炎症がおこります。腫れや赤み、痛痒さなどを生じ、酷いときにはキズが出来ることもあります。
治療にも予防にも保温が一番!外で活動される方はブーツを履く、靴下を保温効果の高いものにする、足用のカイロを使用する(ただし、やけどに注意!)など足が冷えないようにしてください。
室内でも厚い靴下や室内履きなどでの保温、暖房器具で足元を温めるなど環境を整えるようにしましょう。
汗をかいたままで放置していると、気化する際に熱が奪われこれも皮膚を冷やす要因になります。特に手足は濡れた状態で放置しないようにするも大切です。
クリニックでの治療は、ビタミンEの飲み薬、塗り薬や生姜の漢方薬などを処方させて頂いております。
参考文献:あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店
難治性のアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセント(注射剤)、発売から5年以上たち世界中で沢山のアトピー性皮膚炎で苦しむ患者さんの人生を変えてきました。実際に投与された患者さんを拝見するとその効果はあきらかで、“Life change drug(人生を変える薬)”と言われた由縁を実感したものです。
このデュピクセント、効果も大きいのですが、もう一つ大きなメリットがあります。
それはいまだに重篤な副作用の報告がかなり少ないということです。当院でも沢山の患者さんに投与させていただいておりますが、副作用のために中止された患者さんはいまだおられません(結膜炎などが一時的に出たり、注射部位反応は一定数の方におこります)。世界中で膨大な数の方が使用されているにもかかわらず、大きな副作用報告がごく少ないというのは驚くべきことです。
このデュピクセント、従来成人にのみ適応がありましたが、昨年9月に小児にへの適応が追加されました。
これにより、生後6か月以上のお子さんからデュピクセントを使用して頂くことができるようになりました(投与には重症度などの要件を満たす必要があります)。
当院でも小児患者さんに投与を始めており、これまで掻きむしりが強くなかなか塗り薬や抗ヒスタミン剤の飲み薬ではコントロールが良くなかった患者さんが良くなられて、喜ばれております。
皆さま佳き新年をお迎えになられましたか?
地震や飛行機事故など、今年は大変な年明けでした。
まだまだ大変な思いをされておられる方いらっしゃることに、心を痛めております。
身原皮ふ科・形成外科クリニックは1月5日より診療を開始しております。
新年も沢山の患者さんにご来院頂き、この場をお借りしてお礼申し上げます。
待ち時間が多い中、ご来院くださった患者さんには大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
ご来院くださる患者さん、皆さまのお悩みを皮膚科専門医、形成外科専門医の立場から解決し、診療の質を落とすことなく待ち時間をなるべく少なくするべく、スタッフ一同努力しております。皆さまの貴重なお時間を頂戴していることをいつも心において診療しております。
今年は当クリニック開業5年目に入ります。
これからも皆さまのお役に立つよう、皮膚科、形成外科、美容皮膚科診療に邁進して参ります。
当院は皮膚科専門医、形成外科専門医が在籍し、かつ家族で診療しているクリニックであるのが最大の特徴です。
この特徴を活かして、医学的根拠に基づいた治療をいち早く患者さんにお届けし、かつ美容診療においても美容しかみられない医療機関ではなく、皮膚科、形成外科の医学的知識、経験を30年近く有する院長と身原弘哉医師が皆さまにエビデンスに基づいた、効果的で安全かつ誠実な診療をお届けして参ります。
今年も身原皮ふ科・形成外科クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
保湿剤には大きく分けて2種類あります。
水分を沢山含み直接的に角層の水分を増加させます。
クリームやローション、スプレーなど剤型が豊富で使いやすいです。
例)ヘパリン類似物質(ヒルドイド)や尿素(ウレパール)
皮膚を覆うことにより水分蒸散を抑え間接的に角層の水分を増加させまず
油脂膜を形成することで水分蒸発を防ぐことから、ベタベタします。
例)ワセリンなど。
それぞれの良い点、欠点があるのですが、乾燥や皮膚炎がひどいときにはどれを塗っても刺激になることがあります。
まずはお薬を塗っていただくことが大切!
患者さんと相談して、どのようなお薬をお出しするか日々考えて処方しています。
これからの季節に悪くなる乾燥肌
生活での注意点
石鹸やボディーソープなど、汚れを落とすものには界面活性剤が含まれます。
この界面活性剤の働きにより汚れは洗浄剤を触れるだけで浮き上がるので、
ゴシゴシとこする必要はありません。
ナイロンタオルでなくてもタオルなどでこする必要はありません。
洗浄剤をよく泡立てて手のひらで優しく伸ばして洗うことが大切です!
すねなどの特に乾燥が強い部分には
洗浄剤の使用を最小限にとどめることも重要です
気をつけましょう
<参考文献>
公益社団法人日本皮膚科学会 皮脂欠乏症診療の手引き作成委員会. 日皮会誌:131(10), 2255-2270, 2021
乾燥肌には大きく分けて3つの要因があります。
① 生理的要因 :年齢等によって自然に起こる変化
② 環境要因 :外気やエアコンによる低湿度(特に冬ですね)
お風呂の入りすぎや皮脂をしっかり落とす石鹸やこすりあらいなど
③ 非生理的要因:皮膚や全身の病気や抗がん剤や放射線などの医療によるもの
皮膚の一番外側にある角層はわずか0.2m程度と薄いものの、バリア機能があり
さまざまな物質(ばい菌やアレルゲン)から身体を守り、水分を保つ働きがあります。
<参考文献>
公益社団法人日本皮膚科学会 皮脂欠乏症診療の手引き作成委員会. 日皮会誌:131(10), 2255-2270, 2021