コラム

column

多汗症について

多汗症について

日中は30度を超えるようになり、汗ばむ毎日です。

ヒトの汗腺にはほぼ全身に分布するエクリン汗腺と比較的特定部位に存在するアポクリン汗腺があります。

多汗を引き起こすのは前者のエクリン汗腺です。温熱刺激によって汗が出て、体温調節に関係しており、交感神経やアセチルコリンという物質に支配されています。

汗をかくのは体温調節に必須で、重要な機能ではありますがワキ汗によりシャツにシミが出来たり、汗がダラダラ流れたりするのは嫌なものです。

手汗は季節に関係なくみられますが、酷い方になるとスマホが故障したりすることもあるようです。

このような多汗症のお薬は今どんなものがあるのでしょうか。

全身の多汗にはあまり良いお薬はなく、抗コリン剤という交感神経の伝達をブロックする飲み薬が保険診療で処方可能です。

しかしながら、このお薬は緑内障(閉塞隅角というタイプの方)や前立腺肥大のある方などには処方できませんし、口渇や目の調節障害(視界がぼやける、光をまぶしく感じる)もおこる可能性があるお薬になり、常用するのは難しいことが多いので、どうしても汗を止めたい時のみに飲んで頂くようにしています。

一方、脇と手のひらには抗コリン剤の塗り薬が保険適応になっています。

脇汗には2種類、手汗には1種類の塗り薬が処方できますが、いずれも作用機序としては交感神経からエクリン汗腺(汗を主にだす汗腺)への指令伝達をブロックするお薬です。

わき汗


科研製薬株式会社HPより

ワキ汗には、エクロック(ゲルタイプで塗るもの)、ラピフォートワイプ(不織布にお薬がしませてあるもの、拭くタイプ)の2種類がお好みに応じて処方できます。

手のひらは就寝前に塗るタイプの1種類です。

ワキ汗は塗り薬で効果不十分でしたら、ボトックス注射も保険で受けていただけます(効果持続は3,4カ月)。

考文献:あたらしい皮膚科学第3版 清水宏著 中山書店

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞