ですが、
最近、1. 毛穴のつまりを改善するお薬が主流になってまいりました。
理由の一つは2. 炎症を抑える外用薬=抗菌剤の長期使用により、
ヨーロッパやアメリカはじめ、アジアや中南米でもニキビ患者さんからの薬剤耐性菌がみられるようになっているのが問題となってきたのです。
特にヨーロッパではニキビ菌の半数以上(50-90%)が耐性菌といわれています。
日本ではヨーロッパや欧米ほどニキビにおける耐性菌が大きな問題にはまだなっていませんが、2000年には0.5%未満であった耐性菌が、その後急激に増加して半数以上になっているという報告もみられます。
日本皮膚科学会の尋常性ざ瘡治療ガイドライン(日本におけるニキビ治療の教科書のようなものです)では、抗菌剤による治療は、ぬりぐすり、飲み薬とも炎症が強い時期に使うことを強くすすめていますが、耐性菌の出現を防ぐためにも原則3ヶ月で見直すようにともすすめられています。
もう一つの理由は「抗菌剤使用のみでは効果が不十分」だからです。
抗菌剤は以下の図の右2つ「赤ニキビ」「黄ニキビ」にしか効果がなく、
その手前の「毛穴」のつまりを除去する効果がないのです。
ニキビは以下の段階を経て発生します:
1. 毛穴のつまりから始まる「微小面皰」
思春期に皮脂分泌が活発になると、毛穴の出口が詰まりやすくなり、皮脂が溜まることで目に見えない「微小面皰」が発生します。
2. 炎症のない「白ニキビ」「黒ニキビ」
毛穴が詰まり、皮脂がたまった状態を指します。
3. 炎症を伴う「赤ニキビ」「黄ニキビ」
毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こします。進行すると膿が溜まり、青ニキビへと悪化することもあります。
マルホ株式会社HPより
当院では、日本皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインに基づき、最新の治療を提供しています。
2008年に保険適用となったアダパレン(商品名:ディフェリン)は、微小面皰の段階から治療が可能です。
副作用として赤みやかゆみが出る場合がありますが、保湿や使用量を調整することで軽減できます。
毛穴のつまりを改善し、抗菌作用も持つ過酸化ベンゾイル製剤(デュアック、ベピオ、エピデュオ)は、現在の主流治療です。
副作用として赤みやかゆみが出る場合がありますが、保湿や使用量を調整することで軽減できます。
過酸化ベンゾイル製剤の注意点と代替治療
過酸化ベンゾイル製剤は、ニキビ治療において毛穴のつまりを改善し、抗菌作用を持つ有効な治療法です。しかし、一部の患者さんにアレルギー反応が起こる可能性があります。
アレルギー性接触皮膚炎のリスク
過酸化ベンゾイル製剤は、約3%の方にアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こすことが報告されています。この反応が確認された場合、過酸化ベンゾイル製剤の使用は中止が必要です。
アダパレンが選択肢に
過酸化ベンゾイル製剤に対してアレルギー反応がある患者さんには、アダパレンが唯一の選択肢となります。アダパレンは、微小面皰の改善に効果があり、アレルギー性皮膚炎を引き起こすリスクが低い点が特徴です。
過酸化ベンゾイル製剤は、毛穴の詰まりを改善し、ニキビ治療に有効な薬剤です。
しかし、副作用として赤みや痒みが生じる場合があります。
副作用について
過酸化ベンゾイル製剤の使用により、一時的に皮膚炎(赤み・痒み)が起こることがあります。
ただし、これは薬の作用によるものであり、通常、使用を中止する必要はありません。
副作用を軽減する工夫
過酸化ベンゾイルは毛穴の詰まりを改善する一方で、皮膚のバリア機能に重要な「角層」を一時的に薄くすることがあります。
このため、以下の方法で副作用を軽減できます:
これらの工夫により、多くの方が副作用を乗り越え、治療を続けることが可能です。
定期的な診察と治療効果
当院では、初診後2週間で診察を行い、治療の経過を確認しています。
この時点で症状が改善している患者さんがほとんどです。
継続して使用することで、ニキビができにくい肌を手に入れることが期待できます。
新たに処方可能となったローション剤は、従来の「ベピオゲル」と比較して以下の点で改良されています:
これにより、より快適に過酸化ベンゾイル製剤を使用できるようになりました。
炎症を抑えるために、ドキシサイクリンやミノマイシンなどを処方します。
ただし、耐性菌の発生を防ぐため、原則3か月以内で使用を見直します。
抗生物質の塗り薬のみで治療すると、その抗生物質に対する耐性菌が作られやすいとされています。
ガイドラインでの抗生物質のぬり薬は効果が認められており、ごく軽症のニキビには抗生物質の塗り薬のみを処方することもありますが、次々とニキビが出る場合には①の面皰治療薬への切り替えや併用をおすすめしています。
サリチル酸マクロゴールピーリングは、毛穴の奥深くまで作用し、微小面皰を除去します。
安全性が高く、肌表面を滑らかに整えます。
(MBderma 209:165-174,2013, Bella Palle 2:48-49,2017)
(J Invest Dermatol, 106:312-315,1996)
ビタミンCには抗酸化作用があり、炎症を抑えニキビ跡の改善にも効果があります。
(Int J Cosmet Sci, 2005; 27: 171― 176, J Cosmet Dermatol, 2010; 9: 22―27, Int J Cosmet Sci, 2009; 31: 41―46.)
※ビタミンCの内服などのビタミン剤内服は効果を確かめた報告はなく、ガイドラインでも推奨されておらず、当院でもおすすめしておりません。
ニキビ治療には、適切なスキンケアも欠かせません。
低刺激性やノンコメドジェニック製品を使用し、保湿をしっかり行うことで治療の効果を高めます。
当院ではスキンケア指導も行い、製品のサンプル提供や販売もしています。
(Aesthet Dermatol, 2007;17:272―278, 西日皮膚,2008;70: 429―435, Nanomedicine, 2011; 7: 238―241)
抗菌剤の長期使用により、ヨーロッパやアメリカでは耐性菌が50~90%にも達しています。
日本でも耐性菌の増加が報告されており、抗菌剤を慎重に使用しつつ、過酸化ベンゾイル製剤などを併用する治療が推奨されています。
ニキビは適切な治療で改善し、新しいニキビの発生を防ぐことが可能です。
当院では患者さんの症状や生活スタイルに合わせた最適な治療法をご提案します。ぜひ一度ご相談ください。
サリチル酸ピーリング 治療例
ダーマペン 1回 | 29,700円 |
ダーマペン 初回お試し | 22,000円 |
※麻酔、成長因子パック込み
治療例
主な副作用