皮膚のできもの(腫瘍)の大半は、ほくろなどの良性腫瘍でそのままでも問題のないものですが、長い時間が経てば良性であっても大きくなるものがほとんどです。また、中には皮膚がんの一種である場合もあります。
肉眼的な所見や経過、ダーモスコピーなどを経て、悪性が疑わしい場合は細胞を一部採取して診断を付ける必要があります。通常、明らかに良性と考えられる場合は切除してその組織を病理検査に出すことで診断と治療が同時に進みます。
悪性が疑わしい場合は細胞を一部採取する皮膚生検を行って診断を確定させてからの治療になります。
傷跡になりそうと心配な傷については、傷を治す段階から気軽にご相談ください。
赤くみみずばれのように盛り上がる傷跡は、一般的に「ケロイド」と思われることが多いですが、専門的にはケロイド・肥厚性瘢痕・瘢痕拘縮などあり治療法も異なります。体質による影響が大きく、難治の場合もあります。
きずあとの治療はほとんどの場合、保険適応です。
治療法には
上まぶたが垂れ下がり、視界が狭くなってくる状態を眼瞼下垂といいます。
眼瞼下垂によって前が見えにくい、眉毛を大きく上げないといけないため肩がこる、おでこに深いしわができるといった症状につながります。
殆どの場合は後天性ですが、生まれながらに眼瞼挙筋が働かない先天性の眼瞼下垂もあり治療法が異なります。
また、後天性の場合でも重症筋無力症など全身的な疾患が原因の場合もあり、その際には原疾患の精査・治療が先行します。
a) 腱膜性眼瞼下垂
後天性の眼瞼下垂のほとんどは目を開く眼瞼挙筋の腱膜の付着部が緩んでくる・外れてくることで力を伝えることが出来なくなり開かなくなってくるものです。主に加齢によって徐々に進行しますが、ハードコンタクトレンズや、アトピーや花粉症などで目をこすることによって若年で発症する場合もあります。
いったん離れた腱膜は自然に元に戻ることはありませんので、手術で止め直す以外に良くなることは有りません。また、重瞼術(ふたえ)の手術ではその操作をする訳ではありませんのでこれも改善策にはなりません。
手術は皮膚を切開して(多くの場合は皮膚が余っていますから減量します)上に逃げた腱膜を同定し、少し長さを詰めるようにして止め直すことで眼の開きを改善します。
このときに殆どの場合重瞼も作成します。
最近、ミューラー筋に緊張をかけると眼瞼痙攣を生じることがあると言われています。簡便なタッキング法やミューラー筋ごと前転する短縮は避けたほうがよいと考えられますので、腱膜のみを剥離して前転します。痙攣がある症例ではその際にミューラー筋を解除します。
まぶたの皮膚は、睫毛のある目の縁のあたりは非常に薄いですが、眉毛に近づくにつれて分厚くなっていきます。皮膚の余りの強いケースでは、重瞼線で皮膚をたくさん切除すると上の分厚い皮膚が下りてきてしまい、まぶたが厚ぼったくなります。
このようなケースでは、皮膚を眉毛の下で切除する眉毛下皮膚切除が有効です。見える部分に傷跡が残りますが、きれいに縫合すればたいていの場合はほとんど目立たなく治ります。この手術は薄い皮膚を残せるメリットがありますが、腱膜を触らない手術ですので挙筋機能が良好なケースや腱膜前転手術後に二次的に行う方法として選択されます。
b) 先天性眼瞼下垂
生まれながらの眼瞼下垂では挙筋が動いていないため上記の手術では改善が得られません。前頭筋と瞼を筋膜などでつなぐ吊上げ術を行います。